
今、アメリカに来ています。
いつもアメリカに来るたび、いろいろなことを考えさせられます。
今回はまず、成田からシカゴに飛び、シカゴからセントルイスまでの国内便に乗った時のこと。通路をはさんで斜め前方の若い男性が、興奮気味に隣の女性に話しかけていました。
20歳代と思われるその男性はイラクで17ヶ月従軍した後、故郷へ帰還してきたのでした。話の内容は、イラクでの軍隊生活がいかに大変だったか、これからどうしたら仕事を見つけ、普通の生活に戻れるかという不安について。
話相手の女性はたまたま隣り合わせになったというだけでした。彼は極限状態の生活から戻ってきたばかりで、見知らぬ相手であっても内側に抱えてきたいろいろな気持ちを抑えることができず、言葉が止まらなかったようです。
そこで相手の女性が一言。「でもあなたは少なくともまともな体で帰ってこれてよかったわね。」「・・・・。」
それから彼の言葉はとぎれ、沈黙の時が流れました。まともな体で帰ってこれなかった仲間のことを考えていたのか、他のことなのか、定かではないけれど。
日本にいると「イラク」、「アメリカ」、「戦争」といった言葉はニュースでも
飛び交いますが、ややもするとそれは記号のようなものになってしまい、
その実体を感じることができません。
でもアメリカでは「戦争」をもっと身近に感じます。
もちろんイラクでの現実こそがリアルなものですが・・・。
空港ではその若い男性の家族だったのでしょうか、「お帰りなさい!」というプラカードを持って待っている人たちの姿を見かけました。そして町の中を走る車にはよく、無事の帰りを願う黄色いリボンのシールがついているのを見かけます。
アメリカでは帰還兵の多くが、以前とは表情や性格が一変するほどのトラウマを受けるものです。
でもそれは実をいうと他国の話だけではなく、まさに私たちより前の世代が
日本で直接体験したことでもあり、今だに世代を越えて私たちの深層心理に
影響を与え続けているものではないかと思います。
これについては別の機会にまたお話したいと思うのですが。
最近話題になっているクリント・イーストウッド監督の『父親たちの星条旗』、『硫黄島からの手紙』の二部作の映画は、さまざまな賞を受けるなど、社会的評価も高いですが、セラピスト仲間の間でも評判がいいです。
それは、硫黄島での戦闘について、アメリカと日本のそれぞれ違う視点から描きつつ、同じ人間として抱える悲しみや痛みに迫っているためです。
スピリチュアルというのは、善悪の二元論を超え、ひとつの大きなつながりを感じることでもあります。
戦争という難しい題材をこうしたスピリチュアルな視点からまとめあげたクリント・イーストウッド監督とスタッフの力量には感嘆します。
この日常におけるあらゆるリアルなできごとを感じることを恐れず、その現実を抱きとめることがスピリチュアルなことと言えるでしょう。
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