この15年余り、自然造型作家として多くの方に作品を見てもらい、
自分の作家歴や製作姿勢はあきらかにしてきたけれど、それ以前の事は
あまり語ったことはない。
今年になって田舎暮しをしている人としての取材が入るようになった。
セカンドライフをどう生きるか考えている団塊世代のためである。
「そうか、田舎暮しか、、」とまるで他人事のように感じながら、ふと、
いままでの道のりを振り返ってみた。20代のはじめころ都会を飛び出
してから、いつ、なにをしてきたのか。
書き出してみておどろいた。あれから35年?
なんども指折りかぞえてみたが、、まちがいではなかった。
そうか、もう35年も経ってしまったのか
いろんなことがあった。
日本のあちこちやカリフォルニアなどで暮らし、休耕田や休耕畑、荒れ地などを開墾した。
その数、10ケ所あまり。
米づくり20年、かかわった水田は7ケ所。
百姓で生きていきたいと思いながら、なかなか定住の地の定まらない
私を見てつれあいは開墾人生と言った。
私は現実の大地を開墾しながら、自分の奥深くにねむっている世界も開墾してきたように思う。
その意味では私の開墾人生はまだまだ続いている。
土地を定めて根を下ろし、その場との関係を深めて少しづつ積み重ねて
いくのが百姓の常道だけれど、なかなか場が定まらずに来た者のなかにも
それなりに積み重ねられた経験と学びがある。
季節の花を活けた流木花器やかずら花器の写真、熊野の風景などと共に、
奥熊野の日々の暮らしや、いままでの経験や学びをすこしづつ、
お話していきたいと思う。
仙境の我が家

湖水木花器 「風の翼」

ヒノキ大木の根に近い部分が剥ぎ取られ、湖面を30年以上漂っていたものです。
表面は水で磨かれたままで、手は加えられていません。
上部をくりぬき銅製のおとしを入れ、石の上に鉄棒で立ててあります。
家の周囲を紅く染めている彼岸花と畑のウコンの花を活けてみました。