石川勇一の瞑想エッセイ「シューニャ」

2007年09月

存在論的な孤独と癒し

私たちは常になにかを考えています。
私たちは常になにかを思っています。

なにかを考え、
なにかを感じているのは私ですが、
「私」とはそれだけではありません。
思考や感情は「私」のごく一部分でしかありません。

瞑想をすると、
まず私が間断なく自動的になにかを考えていることに気づきます。
そしていつもいろいろな感情が動いていることに気づきます。

考えの中に入り込むのではなく、
考えていることを観、
感情のなかに入り込むのではなく、
感情の波を眺めていると、
思考や感情から次第に解放されます。

思考や感情から解放されたとき、
私たちは大海のような
大きな「私」を体験しています。

大きな私は無限に広く、
ここまでという区切りはありません。
なにものとも分裂がなく、
調和のうちに一体感があり、
あらゆる観念や感情から解放されていて、
愛と安らぎに満ちています。

自己を知らないこと、
自己と分離すること、
自己自身に還れないことこそ、
あらゆる寂しさの根源であり、
最大の孤独なのです。
人間の存在論的な孤独です。

存在論的な根源的寂しさは、
どんなに他人と親密にかかわっても、
本質的に癒されません。

私たちの究極の癒しは、
この大海のように大きな自己との分裂を癒すことにあります。

9月23日身体ほぐしの会および今後のお知らせ

9月9日(日)はいつもの会場が使えず、
小さなカウンセリングルームでしたが、
落ち着いて瞑想会をすることができました。
ありがとうございました。

9月23日(日)14:00~17:00 は
臨床動作法による身体ほぐしの会を行います。
今回は躯幹部(腰・背・肩など)の動作課題を中心に行う予定です。
身体ほぐしの会の詳細および受付方法はこちらまで。

瞑想会および身体ほぐしの会は、
空間的・時間的な状況の変化により
しばらく休止させていただく予定です。
ご了承の程よろしくお願いします。
尚、瞑想及び臨床動作法は、
個人セッションでは続けて参ります。

昨年11月より、
全12回のワークショップを行い、
毎回素晴らしい方々が多数参加してくださいました。
お陰様で、
いつも私の力量以上のワークショップになりました。
参加者がそれぞれ良い体験ができたことをうれしく思いますし、
私自身も貴重な経験をさせていただきました。
ここに心よりお礼申し上げます。

味わいつくす

川の流れに足を浸したとき、
それをどのように体験するでしょうか?

ぎゃー冷たいと大声で叫んで、
足を引っ込めるのか。
あるいは、
じんわりと冷たさが足に広がる痛みを感じて、
水の流れや川底の石のぬめる感覚までも味わうでしょうか。

ただ川に入るだけでも、
いろいろな体験の仕方があるのです。

私たちは、
いろいろな体験をするために生まれてきました。

体験をするというときに、
なにをしたとか
どんな目に遭ったとか
どこに行ったかなどということよりも、
それをどのように味わったのか、
それをどのように体験したのか、
ということが決定的に大切です。

忙しく動き回って方々に出かけても、
それを味わう心がなかったら、
それを観る眼がなかったら、
それは雑駁でぼやけた体験です。

苦しいときに、
苦しい苦しいと訴え続ける人が、
実はなにがどう苦しいのか、
よくわかっていないことがあります。
いつも苦しみを避けるのに精一杯で、
本当の意味で苦しみと向き合って
苦しさを体験できていないということがあるのです。

楽しいときに、
楽しい楽しいと騒いでいるのに、
実はなにが楽しいのか
よくわかっていないこともあります。
感情的な興奮に圧倒されて、
自分もそれに呑み込まれていて、
深い楽しさを味わえていないということもあります。

このような人は、
苦しみや悲しみの感情の波に襲われれば、
同じようにそれに呑み込まれて押し流されてしまいます。

体験を味わいつくすというのは、
目覚めてそれを観ていることが必要です。
「観る」というのは五感を含めた、
自己のすべてを総動員して精緻に味わうということです。

苦楽を含めたすべての体験を
充分にあますことなく味わいつくすとき、
私たちは次に進めるのです。

プロフィール

石川勇一石川勇一

相模女子大学教授。日本トランスパーソナル心理学/精神医学会副会長。日本トランスパーソナル学会理事。「アートマンの館」代表。臨床心理士。

「アートマンの館」にて、カウンセリング、ヒーリング、臨床動作法、箱庭療法、ケイシー療法、瞑想法、山学道セラピー(山巡礼・法螺貝・滝行・勤行等)などを実践。

著書に『スピリチュアル心理学入門』(春風社、2009年、単著)、『自己実現と心理療法』(実務教育出版、1998年、単著)、『スピリチュアリティの心理学』(せせらぎ出版、2007年、分担執筆)ほか。

石川勇一『心理療法とスピリチュアリティ』勁草書房、2011年2月20日発刊。スピリットセンタードセラピー提唱の本格論文集。


◎コメントに対してコメントをできないことが多いです。その点、ご了承ください。


「アートマンの館」 

●ワークショップ情報
瞑想会:2012年1月8日(日)13:30~15:30
山巡礼with法螺貝in日向山:2012年1月29日(日)9:20~14:00頃
ヒーリング入門講座:2012年3月4日・11日
(以上、参加予約受付中)


●相模女子大学 石川研究室
http://www.sagami-wu.ac.jp/ishikawa/


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