石川勇一の瞑想エッセイ「シューニャ」

安心と真の癒し

緊急事態の時は、
生き残りのために懸命に戦っているので、
自分の心が受けたダメージを感じないことがあります。

しかし、
臨戦態勢が解かれてほっと安心できたとき、
急に不安や悲しみ、怒り、恐れなどが噴出してくるのです。

ダメージが深いトラウマの場合には、
臨戦態勢が解かれて、
凍り付いていた感情が解凍するまでに、
何ヶ月どころか、
何年も、何十年もかかることも珍しくありません。
場合によっては生死を超えて何百年かかることさえあるでしょう。

このことをよく知っておくことが大切です。
自分の中から不快な感情が出てくることは、
それを受け止める準備が整ったということなのです。

ようやく戦う必要性がなくなったことを認識して、
安心(あんじん)が得られると、
その安心の深さに比例した、
深い感情が浮上することができます。
それを自覚的に受容することが大切です。

深い瞑想に入ると、
自然と涙や叫び声が漏れ出すことがあります。

ヒーリングを受けると、
意味不明の情動が涙と共に流れ出ることがあります。

深く信頼できる人に出会えると、
いままで隠されていたさまざまな気持ちが
次から次へと抑えられなくなることがあります。

聖者に出会うと、
激しい憎悪や殺意、
悲しみや疑いの心がもたげたり、
のたうちまわったり、
嘔吐したりすることがあります。

これらはみな安心による癒しなのです。
だから、
不快な感情がでてきたら、
不快な身体感覚があらわれたら、
押さえようとしたり逃げ回るのではなく、
安心によってようやくあらわれることができたのだと理解して、
大切に向き合って、
十分に感じ尽くすことが大切です。
不快の中にある声なき声に耳を傾けてみて下さい。

これが表面的な対症療法による癒しではなく、
真の癒しに必要なことです。

感じ尽くしたら、
「それはもう終わった」
と自分の全意識に向かって、
心の底からキッパリと宣言します。
曖昧な宣言ではいけません。
いつまでも同じ感情にしがみついていてはいけません。

消え去った感情があったスペースには、
光輝くお花をいっぱいに咲かせてみましょう。
ネガティブな感情の跡地は、
花の咲き誇る真我の神殿となり、
神の神殿として再生されるのです。
かつてのトラウマは神殿に咲く花を育てる肥やしとなります。

深層においてトラウマと無縁な人は実はほとんどいません。
安心の獲得とそれに伴う癒しのプロセスは、
次第に深化しながら繰り返し起きるものです。
深い安心による癒しの体験は、
トランスパーソナルな成長への礎となります。

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プロフィール

石川勇一石川勇一

相模女子大学教授。日本トランスパーソナル心理学/精神医学会副会長。日本トランスパーソナル学会理事。「アートマンの館」代表。臨床心理士。

「アートマンの館」にて、カウンセリング、ヒーリング、臨床動作法、箱庭療法、ケイシー療法、瞑想法、山学道セラピー(山巡礼・法螺貝・滝行・勤行等)などを実践。

著書に『スピリチュアル心理学入門』(春風社、2009年、単著)、『自己実現と心理療法』(実務教育出版、1998年、単著)、『スピリチュアリティの心理学』(せせらぎ出版、2007年、分担執筆)ほか。

石川勇一『心理療法とスピリチュアリティ』勁草書房、2011年2月20日発刊。スピリットセンタードセラピー提唱の本格論文集。


◎コメントに対してコメントをできないことが多いです。その点、ご了承ください。


「アートマンの館」 

●ワークショップ情報
瞑想会:2012年1月8日(日)13:30~15:30
山巡礼with法螺貝in日向山:2012年1月29日(日)9:20~14:00頃
ヒーリング入門講座:2012年3月4日・11日
(以上、参加予約受付中)


●相模女子大学 石川研究室
http://www.sagami-wu.ac.jp/ishikawa/


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