岡部明美のスピリチュアルな旅で出会った”もの・人・場・言葉たち”

あなたは今まで何を求めて生きてきたのか

WS000331.JPG私が、自己探求を始めるきっかけになった最初のセミナーのファシリテーターが郁恵さんだったことは、私にとってとても幸運だったと思う。なぜなら、郁恵さん自身、乳がん(両方)、子宮がん、胃がんの体験があり、特に胃がんなどステージ4の末期がんだったという。

そこから生還されて20年以上たっているという事実は、私にとって何よりの希望の光だった。郁恵さんがもう一度この世界に戻ってこられたのは、「私はこの世でやるべき自分の仕事をまだやっていない。私はまだ本当の自分を一度も生きていない。このままでは私は死ねない」という熱い思いだったという。


私も、自分の死を目の前に突きつけられた時に、同じことを思った。そして、同時に何者かから、私自身が厳しく問われていることを感じたのだ。


「あなたは、今まで何を求めて生きてきたのか」
「あなたは、本当に自分のやりたいことをやって生きているのか」
「あなたは、その生き方で、本当にいい人生だったと思って死ねるのか」
「あなたは、何をするために生まれてきたのか」


この厳しい問いかけは、私の心の深い部分に刻み込まれた。平凡な日常の小さな幸せを感じている時でも、子供の健やかな成長を目を細めて喜んでいる時でさえも、この問いかけは、私の中で失われることなく生き続けていたのだ。


自己の内奥へのこの大きな問いかけは、同時に、生まれて初めての大いなる存在への真摯な問いかけでもあった。それは今にして思うと、私が、身体や心を超え、個をも超えた、目に見えないスピリチュアルな世界にまで歩み出さざるをえない、いのちの発動だったのだと思う。


私は、自然の流れで、スタッフとして郁恵さんのセミナーをお手伝いさせていただくことになった。私は、郁恵さんのセミナーを体験すると、いろいろな気づきがあったので、「気づきのノート」というものを作って、それに、詩や散文の形で文章を沢山書き綴っていた。


セミナーが終わって家に帰り、深夜に瞑想していると、たいていある単語がポンと浮かんできた。


<つながり>、<哀しみ>、<一歩>、<自立>、<扉>、<行き詰まる>、<許す>


こういった言葉が、空間にふっと浮き出てくる。これらの言葉をしばらく感じていると私のからだの奥深くから、突然、湯水のごとく言葉があふれてくるようになってきたのだ。


私は、物書きの仕事をずっとしてきたけれど、こんな体験ははじめてだった。よくはわからないけれど、私は、何かとても広くて、深い場所につながり始めたような気がした。生まれて初めて、ワークショップという自己の内面に深く触れてく体験を重ねていったことで、自分を超えた世界につながり始めたのかもしれない。


一般的にワークショプやセラピーやカウンセリングというのは、心の病気の治療とか、自分のダメなところを無くすとか、問題解決の答えを見つける場、あるいは自分を変える方法などを学ぶ場のように見られているのではないだろうか。


しかし今の私が理解したのは、ワークショップやセラピーの最も大きな目的というのは、変えようとしなくても、ひとりでに変わっていくという「変化」を体験することなのだ。


そして、同時に、本来の自分を「思い出すこと」、自分と他者と世界との「つながり」を回復して、イキイキと自分のいのちが輝く道に自然に歩み出せるようになることなのではないかと思う。


自分に合ったワークやセラピーやカウンセリングを体験すると、心が何かにこだわり過ぎて生きにくくなっている状態から、こだわりやとらわれがほぐれて楽な状態に自然に変化していくのだ。自分の中に調和が生まれてくると、他者とも自然に調和していけるようになっていくのが本当に不思議だ。


人に変化をもたらす要因は様々だけれど、最も大きく作用するのが「体験」で、これがいわゆるワーク(体験・体感・実感の学習)といわれるものなのだということがだんだんわかってきた。


人生は体験の積み重ねだけれど、今までと同じような体験を繰り返しても大きな変化は起きてこない。いつもと全く違う体験をすると、必ず変化が起きてくる。変えようとしなくても、ひとりでに変化していくのだ。


ある時、郁恵さんから「明美さんは、本当は何がやりたいの?」と尋ねられた。私はこの時、思わず「郁恵さんみたいな仕事がしたいです」と言ってしまったのだ。


言った後、恥ずかしくて涙がでてきた。身の程知らずもいいとこだと思ってしまったのだ。何の資格もキャリアもない私に、人間の、こんな深みに触れていくような大変な仕事なんてできるわけがないのに、なんて恥知らずなことを口走ってしまったのかと、ものすごく後悔してしまった。


そうしたら、郁恵さんは、「人は、自分ができないことは夢見ないのよ」と言ってくださったのだ。そして「明美さんの経験そのものを活かして、明美さんらしさを生かした仕事を作っていけばいいじゃの」という励ましのメッセージも下さったのだ。郁恵さんのこの言葉が、この時の私にどれだけの勇気を与えてくれたことか。


そうか、人は自分にできないことは夢見ないのか。確かに私は今までの人生でただの一度も、画家やダンサー、建築家や音楽家やスポーツ選手になりたいと思ったことがない。考えてみれば当たり前なのだ。自分に全く才能も与えられていないものに対してやる気や興味なんて湧いてくるはずないもの。


でも、物書きや編集者、教師や研究者、プロデューサーやコーディネーターやカウンセラーになりたいと思ったことはある。だから、それに近い仕事は確かにやってきた。まったくやってこなかったのは、この中でカウンセラーの仕事だけだ。


私が今こうして、セラピストであり、カウンセラーであり、ワークショップのファシリテーターである郁恵さんと出会ったのは、いまだ実現していない私の夢のかけらが出会いを引き寄せたのかも知れない。


人が、こういう自分になりたい、こういう自分でありたい、こんな仕事をしたいと思うのは、いのちの中に“潜在能力”としての種がすでにあるからこそ、そういう欲求が湧き上がってくるのかも知れない。あとは、その潜在能力をどう磨き続けるかだけなのだろう。


私は、私自身にしか咲かせることができない“いのちの花の種”に、いっぱい水や光をあげようと思った。


花は、自らがどんな花を咲かせるかあらかじめ決まっているけれど、人間だけは、自分がどんな“いのちの花”を咲かせるためにこの世に生まれたのかがなかなかわからない。それを探すことが生きることであり、それを咲かすことが人生ともいえるかも知れない。だから、長い、長い道程なのだ。それを生きることに歩み出すまでは。


しかし、本当は、“おのずから”その人は、その人が、“その人であるところの人”になっていくのだと思う。そういう「自分」というものが人には必ずある。それこそが“まぎれもない自分の個性”であり、自分の“使命や役割”なのだろう。


こうとしか生きられない自分、どうしてもこれが好き、これがしたいというものが、人のいのちの中にはあらかじめ種としてあるのだと思う。それは宇宙の源につながっている私の人生を創造し続ける“いのちの種”、“魂の衝動”なのなのだろう。


その種は、“自ら”探すのでも、“自ら”達成するのでもなく、“おのずから”そうなっていくもの。いのちの不思議さ人生の神秘はそこにある。


私は、郁恵さんに出会って、学ぶということは、なんと楽しいことなのだろうと思った。人間は学べば、学ぶほど、成長すればするほど、人生が豊かになり自分の内側が深く満たされていくんだなあ。


誰かによって、何かによって得られる満足感や幸福感は、いつなんどき満たされなくなるかも知れないし、突然失うかも知れないのだ。しかし、自分が学び成長することで得られるこの満たされた感覚、自由の感覚は、外側の何かに、誰かに依存しないでもいい質のものなのだ。


「生きることは、絶えざる気づき、新たな発見、成長と変容の連続です。だからこそ喜びがあり、感動があり、発展があり、創造があるのです。そのプロセスを生きるということが人生なのだと私は思っています。私も変わり続け、成長し続けています。これからも私は成長し続けていくでしょう」


60代の時にこう言っていた郁恵さんは、70代に入ってからも、「私には、まだまだやりたいことも、学びたいこともたくさんあるの」と言っているのだ。本当にすごいなあと思う。


人は学ばなくなり、感動しなくなった時から、老いが始まるのではないだろうか。感じる心の豊かさが瑞々しい感性になり、自分の頭でちゃんと考える力、物事を深く洞察する力が美しい理性になり、それらが統合されていったときにはじめて、その人の真の個性や生き甲斐が立ち現れるようになっていくのかもしれない。


私は、せっかくいただいた、この私の「からだと感性と理性」をまるごと大切にして、どの働きも活かし、自分の真の個性を活かして生きていこう。病を超えて、自分を超えて。


おそらくいのちというのは、この“まるごとの自分を生きる力”と“まるごことの自分を愛する力”、そして、心の深い海から聴こえてくる願いに従って生きることで輝き始めるのではないだろうか。


人の心の深い海のエネルギーは、きっとあの広大無辺の大空のエネルギーと相似形なのだろう。この海と空が象徴するエネルギーは魂のようでもあり、神のようでもあり、そこには“真・善・美”への限りない欲求と意志があるような気がする。


そう言えば、郁恵さんは、「私が本当にやりたい仕事に出会ったのは50歳を過ぎてからなのよ」と言っていた。でも、それは、郁恵さん自身が、40代までの人生や仕事を一生懸命にやってこられたからこそ出会えたのだと思う。


人はみな、人生のその時々で、学ぶべきことを学び、やるべきことをちゃんとやり続けていれば、それがすべて“人生の堆肥”となって、道が自ずと用意されるのではないだろうか。自分の準備が整った時に、思いもかけないような大切な出会いが起こるというのはそういうことなのだろう。


私も、郁恵さんが末期がんになった時に思われたように「この世でなすべき自分の仕事」を見つけたいと心の底から思った。私は、これからそのための学びの道にさらに歩み出そうと思う。この道は、「その本当の深さが想像できないほどに深い」ということだけはわかる。そして、大いなる神秘と冒険と愛に満ちた道であることも。


そう言えば、私は、青春時代、自分の生きたい人生をイメージしていた時に、突然、「根っこと翼」という言葉が浮かんできたことがある。根っこというのはこの大地という現実にちゃんと根を生やし、日常、暮らしを大切にしながら、家族や友人たちと一緒に幸せになっていきたい、ささやかな喜びを分かち合う人生を生きたいという気持ちを表していたのだと思う。


そして、翼というのは、同じ“夢や志”をもつ人たちと力を合わせて、人の歓びや幸せに貢献する仕事をしたいという気持ちを表していたのではないかと思う。私は、この大空を飛びたい。自由に、のびのびと、軽やかに。そして、限りある生を、限りない空に解き放ちたい。


私が、「私に帰る旅」を丁寧に続けていけば、いつかきっとこの大空を一緒に飛べる仲間たちと出会えるような気がする。私のいのちが輝くことが、誰かのいのちの輝きにつながる。私の歓びが、誰かの歓びつながる。私の幸せが、誰かの幸せにつながる。そんな、生きる歓びや幸福感を人と分かち合える仕事を見つけたい。


私は、さらなる探求の道に歩み出そう。自分のことももっと深く知りたいし、この世界の広さをもっと味わいたい。そして、私は何のためにこの世に生まれたのか、私の魂の深い願い、私の人生の目的も知りたい。


心の深い海に漕ぎ出した私の目の前には、今遥かなる大海原が広がっている。この大海原は、きっと、心の世界をも遥かに超えた、悠久の魂の旅路になるだろう・・・。


                <  誕生  >          

あなたがこの世に生まれたのは、あなたを必要としている“人”がいるから

あなたがこの世に生まれたのは、あなたを必要としている“世界”があるから

この世に必要のない“いのち”などひつもない

あなたが自分自身になるために苦しんできた人生の軌跡のすべてを含めて

「あなたに会えてよかった」と言ってくれる人にいつか出会える

あなたが自分の心とからだのしなやかさを取り戻し

自分らしく生きようと歩き出したなら

少しずつ ゆっくり 自分を開きはじめたその道のりに

ありのままのあなたを受け入れてくれる人がきっと現れる

その出会いとかかわりの中で 

自然なままのあなたが

もう一度静かに誕生するだろう

    『もどっておいで私の元気!』(岡部明美著:善文社)                                            
                                         (つづく)


WS000333.JPG

<お知らせ>

*2008年1月19日(土)に、岡山で「1 day ワークショプ」があります。
テーマ「からだの声を聴く こころの声を聴く」
http://web.mac.com/monjel1315/iWeb/Site/76F780AA-BC8F-4F7B-8E86-5BE5708ABE3B.html

*翌日の1月20日は、兵庫県・姫路で講演会があります。
テーマ:「いのち輝かせて生きる」

http://anatase.net/event.htm

*岡部明美の公式ホームページ:http://anatase.net/

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コメント

投稿者: 華

命は輝く、変化は自然に起こる、自分に帰る旅…心に残る言葉がいくつもちりばめられていました。

私の旅はあけみちゃんに手を取られ、郁恵ちゃんやらひチャコさんやらに助けられて今、始まったばかりです。(思えば、なんて贅沢なラインナップ)

でも、一つだけわかったことがあります。
本物の旅はとてつもなく楽しい。
心の底からわいてくるような喜びというものを今まで知らなかったのではないかと思うほどの幸せを感じます。

扉を開いてくださって、本当にありがとう。
来年もこの先もよろしくです。

2007年12月30日 20:19

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プロフィール

岡部 明美岡部 明美

ワークショップ・トレーナー/セラピスト/カウンセラー/研修講師/文筆家/東海ホリスティック医学振興会顧問。

独身時代は、シンクタンクにてマーケティングプロデューサーとして活躍。30代半ばで結婚。長男出産直後に脳腫瘍と水頭症を発病し生死を彷徨う。自分の死に直面するという体験を通して、いのちの根源からの問いの答を求めて自己探求の道に歩みだす。著書に「もどっておいで私の元気!」(善文社)「私に帰る旅」(角川学芸出版)

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