佐藤 道代のダンス:身体を感じ、心を表し、フルに生きる試み

2008年11月

デルフィ芸術祭参加アーティスト、舞台の力

11月15日、16日に、大変素晴らしい舞台を二つ体験しました。
どちらも、お能の舞と音楽でしたが、一つは見ながら、もう一つは踊っている間に、舞台の力=命を活性化するような力を頂きました。

デルフィ芸術祭参加アーティスト、舞台の力


私はこの舞台の力が好きで、それを創りたいと志している者なのですが、「何でやっているのか」の本質を忘れてしまう時があります。一瞬で終わるのに、とても労力がいる事なので、身体がきかなかったり疲れてくると、「私は何でこんなに同じ動きを何回も繰り返してるのかな」、と懐疑的になったり・・・。

だから、人の良い創作活動・舞台に触れることが、この「舞台の力」を思い出すことがとっても大切です。音楽と踊りが私達の身体の中に繋ぐ事が出来る、「命の力」は、生き物なのでその場に居ないと感じられません。

デルフィの古代ギリシャ人はこの力の事をMythos と言って、Logosと同等に人間の精神活動として大事にしていました。劇場が神殿のすぐ隣にあることが物語っています。昔の能舞台と同じです。

15日にセルリアン・タワー能楽堂で行われた陽泉会の発表。どれも素晴らしかったですが、Kさんが舞った、舞囃子「桜川」は中心から湧き出るような動きが美しく感動しました。Kさんは私のダンスの生徒で、共に2005年デルフィ芸術祭に行きました。

デルフィ芸術祭参加アーティスト、舞台の力彼女の衣装も髪型も全て「桜」を連想させ、華のある舞いでした。あの美しさは、Kさんのたゆまぬ研究の成果だと思います。Kさんは小さい頃から、日本舞踊→整美体操→フラ→ダンカン→能で生涯身体を育ててきた方です。私は中心の持ち方を、ダンカン・ダンスとイデオキネシスの観点から客観的にアドバイスしましたが、10月になってとても立ち方が変わりました。同時に教えている私が、ダンカン・ダンスとお能の歩き方の共通点を見出す事となりました。

16日には、津田塾大学英文科19回同期会でのFantasia ~「Play in Noh Play」 :能音楽のアレンジ+イサドラ・ダンカン・ダンスにて、能管奏者で、作曲家の 天野サチ氏の曲と演奏に、私が振りをつけるという体験でした。天野さんも、デルフィでコラボレーションしたのが始まりで、その後EXPO2005等で共演してきました。

2005年のデルフィ芸術祭では、デルフィの狂った詩人、シケリアノスが自宅に作り、イサドラが建築時に指定した大理石の床で、「Play in Noh Play」をコラボレーションをしました。天野さんの、アポロン神殿に刻まれた「アポロン賛歌」を解読し、それを能管で吹くという発想に、びっくり。能管で西洋音階を吹くのは、並大抵の事ではありません。(リコーダーのように穴を押さえれば一定の音が出るわけではないのです。)
「ここはパルナッソス山という自然の音響装置がある。」と、天野さんの音楽は響き渡りました。私も山に捧げるつもりで踊り、とても気持ちよい体験でした。

今回、彼女の尽きせぬ創作力に触れ、又びっくりです。お能の原曲を題材したシンセサイザーで作曲していらっしゃいますが、彼女の音楽が「進化」し続けている事を感じました。
これは、天野さんが「精神の自由」を保ち続けているからなのでしょう。

同窓会の出席者も、皆さん還暦とは思えないエネルギーに溢れていらっしゃいました。
「年をよく重ねる事はできる」と、嬉しくなりました。

デルフィ芸術祭参加アーティスト、舞台の力


生きていれば、だんだん身体も傷ついてくるし、心がへこむような体験だって沢山ある。
でも、自分の中心をしっかり持ち、精神の自由を保つ事さえ出来れば、命の力は何時までも変らず人の中を流れ、人を通して伝えられていくものだと、お二人の舞と音楽に教えていただきました。

私も11月20日(木)4時の「世界舞踊祭」と、12月7日(木)4時のBrick One「ダンスシード」で、この力を踊りの中で再現したいなと思います。

天野サチ情報:
http://www.h2.dion.ne.jp/~thisle

以下は、ワークショップと公演のご案内です。

■A. ワークショップ:

▼1.
イサドラ・ダンカン・ダンス
11月22日 (Sat) "Water"
12月20日 (Sat) "Fire"
1月24日 (Sat) "Earth"
1月31日 (Sat) "Air"

Place: 千駄ヶ谷津田ホール2F 同窓会室 
http://tsudahall.com/THHP/annai.html
Time: 10:15 - 12:15 p.m.
Class Fee: 3500 yen (including. references costs)

▼2.
「イデオキネシス」と「イサドラ・ダンカン・ダンス」
Ideokinesis & Isadora Duncan Dance: Use of Imagery in Alignment and Expression"

日時: 11月29日 (Sat), 10:00 a.m. - 15:00 p.m. (1 hour lunch)

Place: 津田塾大学小平キャンパス交流館
http://www2.tsuda.ac.jp/koryukan/index3.html

Class fee: 1700 yen(※申込終了!)


■B.公演

▼1.
11月20日(木) 16:00p.m.「世界舞踊祭支援事業」Dance for All! World Festival
赤坂区民ホール(03-5413-2711)
http://www.koyukai.org/akasaka_guide.html
チケット2000円
イサドラ・ダンカンの作品を踊ります。

▼2.
12/7(日)16:00~ ダンスシード2008-わたくしの森羅万象- 
佐藤道代 峰本春菜 朝倉千絵 オカザキ恭和
自分の作品を踊ります。
場所:千駄木Brick One
http://brick-one.com/brick-one/
http://www.danceseed.com/

料金:前売1,500円 当日1,800円 中学生以下500円 
※上記必ず、ご予約下さい。 
お問合せ、ご予約は:Email: michsato@cba.att.ne.jp

アジュが帰ってきた・・・生徒の発表会「蝶々」

今年のハロウィンは、何だか本当にTrick or Treatでした。
猫が雲隠れしたのが、Trick
でも最後には、発表会で「蝶々」を生徒と踊ることができてTreat
とても大切な事を学びました。

猫のアジュが、病院のカラー(襟巻き)をつけたまま脱出してしまい、一晩中探したのですが帰ってこなかったのです。普段ならそのくらい気にしませんが、病院のカラーは、人間の首の損傷に使うものと同じで、猫は前しか見えなくなり、前後不覚のような状態になっていました。アジュはよほどこれが嫌だったのでしょう。人間にいじめられたと思って、私が気を抜いた瞬間に脱出してしまったのです。それも、痛いだろうにカラーをブロック塀や金網にぶつけながら・・・

数時間、何度も呼びましたが帰ってこないので、だんだん不安になって、警察に行ったら、「今日は似たような、猫ちゃんの遺骸はあがっていない。」と言われました。

その時に、自分の身体の何処が落ち込んで凍るかを鮮明に感じました。
鎖骨と胸骨の接合部分が内側に落ち込むように凍り、動けなくなってしまいました。

過去に喪失のニュースを経験したときの、様々な記憶が急に戻ってきて、絶望的な気分になりました。「死んでしまった。帰ってこない。」という気持ちが、勝手に頭を駆け巡り、家に帰っても、ご飯を食べる気にもなれませんでした。(食べるのが大好きなマークも同じでした。)頭の中に流れる、お葬式のシーンを消そうと、そのまま寝てしまいました。

翌朝、6時頃玄関を開けると、アジュの鈴の音と共に、空き地に走っていく姿を見かけました。マークも「声を聞いた!」と起きてきたので間違いないと、希望を持って、玄関と猫の出入り口を絶えず開けて呼び続け、更に近所に張り紙をさせてもらって探し続けました。皆さんご親切に、駐車場で見たと教えてくださった方も出てきました。

呼び続けて午後3時頃、返答するアジュの声が返ってきました。その声を辿っていくと、何と家から30メートルくらいしか離れていない、家の裏のマンションの基礎の下に20センチの隙間があって、そこに一人でじっと隠れていました。同じ猫の仲間にもカラーのせいで近づけなかったのでしょう。

ここで逃したら一生後悔すると思って、そのマンションの基礎の近くに寝て、名前を呼び続け出てくるのを待つことにしました。

「アジュ、ごめんね。愛してるよ。」と呼び続けましたが、アジュは怒っていました。
ご飯を据えて、2時間待ちましたが、出てきません。
呼んでいるうちに、旅行に行くと行って、帰ってこなかった父のことを嘆いている自分にも気がつきました。

無理やりご飯で釣ろうとしたら失敗して、アジュは益々奥に引っ込んでしまいました。
だんだん寒くなってきたので、毛布と懐中電灯、そして本を持ってきました。
空には三日月の近くに金星が出ていました。

今日は、ここで野宿するつもりで本を読もうと懐中電灯の光で本を読み始めました。
今年オフラ・ウィンフリーのネット番組で話題になりましたが、何だかずっと終わらせられなかった、Eckhart Tolleの “A New Earth”を読み進めると、「the joy of Being」という言葉が出てきました。

「私は生きていて嬉しい、アジュが生きていてくれて嬉しい」という気持ちを、そのまま感じることを急に思い出しました。
自分がそれまで、必死に悲しい声で呼んでいたことに気がつきました。
同時に、これは過去の喪失のトラウマをもう一度流して、「the joy of Being」を感じる事のために起きているのかもしれないと感じました。

都会のマンションの地面の上で、本を読みながら星を眺め、猫を呼んでいる、何だかこんな事をしている自分も楽しくなってきました。
明日の生徒の発表会に、どうやったらベストで出られるかな、何て考える余裕も出てきました。

それから3時間後、アジュは自分から外に出てきて、ダッシュして家の方向に逃げていきました。急いで家に帰って庭を見ると、家に入ろうかどうしようか迷っているアジュの姿がありました。

「おうちだよ。おうち。」と言うと、ぴょこんと入って、一目散に自分の部屋まで駆け上がりました。
めでたく、カラーがはずれ、アジュは家猫として帰ってきました。

次の日、教え子のユクちゃんが、たった一人で私とのデュエット、グルックの「蝶々」に挑戦しました。

アジュが帰ってきた・・・生徒の発表会「蝶々」


舞台袖で、強烈な照明が当たっているのに動じずに一緒にユニバーサル・ムーブメントで集中しているのを見て、とても頼もしく感じました。

そして、美しい「蝶々」となって、舞台中を飛んでくれました。
「The joy of Being」の体現そのものでした。

アジュとユクちゃんに、大切な事を教えてもらいました。ありがとう!

以下は、ワークショップと公演のご案内です。


■A. ワークショップ

▼1. イサドラ・ダンカン・ダンス
11月22日 (Sat) "Water"
12月20日 (Sat) "Fire"
1月24日 (Sat) "Earth"
1月31日 (Sat) "Air"

Place: 千駄ヶ谷津田ホール2F 同窓会室 
http://tsudahall.com/THHP/annai.html
Time: 10:15 - 12:15 p.m.
Class Fee: 3500 yen (including. references costs)


▼2. 「イデオキネシス」と「イサドラ・ダンカン・ダンス」

Ideokinesis & Isadora Duncan Dance: Use of Imagery in Alignment and Expression"
日時: 11月29日 (Sat), 10:00 a.m. - 15:00 p.m. (1 hour lunch)

Place: 津田塾大学小平キャンパス交流館
http://www2.tsuda.ac.jp/koryukan/index3.html

Class fee: 1700 yen(※申込終了!)


■B.公演

▼1.11月20日(木) 16:00p.m.「世界舞踊祭支援事業」Dance for All! World Festival

赤坂区民ホール(03-5413-2711)
http://www.koyukai.org/akasaka_guide.html
チケット2000円
イサドラ・ダンカンの作品を踊ります。


▼2.12/7(日)16:00~ ダンスシード2008-わたくしの森羅万象- 

佐藤道代 峰本春菜 朝倉千絵 オカザキ恭和
自分の作品を踊ります。
場所:千駄木Brick One
http://brick-one.com/brick-one/
http://www.danceseed.com/

料金:前売1,500円 当日1,800円 中学生以下500円 
※上記必ず、ご予約下さい。 
お問合せ、ご予約は:Email: michsato@cba.att.ne.jp

アジュが帰ってきた・・・生徒の発表会「蝶々」


プロフィール

佐藤 道代佐藤 道代

モダンダンスに日本の身体言語を融合し、元型的身体言語を追求する舞踊家。
津田塾大学卒業後ロータリー財団奨学金にて留学したニューヨーク大学より修士号及び舞踊教育学科長賞を受賞。自作を日本(EXPO2005)、米国(国連)、英国(大英博物館)等、各地で公演。NYタイムズ紙に「スタイル・内容ともに洗練された作風」と評される。1998年ミュージカル「王様と私」出演。2004年NYジョイス・ソーホーで、日本女性に関する自作品の公演を行い連日満席となる。2003年、2004年舞踊批評家協会新人賞ノミネート。2005年Die Pratze観客賞受賞。2007年エッセイ「イサドラ・ダンカンの舞踊理論とスピリチュアリティー」を、「スピリチュアリティーとは何か」(ナカニシヤ出版)内にて出版。

URL:http://home.att.ne.jp/alpha/idance/

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