佐藤 道代のダンス:身体を感じ、心を表し、フルに生きる試み

淡路島「くにつくり神話」のダンス

5月2-4日まで、国立淡路青年の家で「自分流ファシリテーションを学ぶ」という会で、ワークショップをしていました。
参加者の皆の踊りと、淡路島の自然に、心が生き還りました。

この集まりは、徳島の自然スクールTOECの伊勢さんが主催し、デザイナーの、西村佳哲さん、マザー・アース・エデュケーションの松木正さん、アフリカン・パーカッショニストの山北紀彦さんと3年間続けてきた最終回。でも、私は去年、怪我でお休みしてしまったので、最初は、「このグループで必要とされていることが、私に出来るかな?」なんて心配していたのでした。

3月29日に、大阪でミーティングを行ったときに、場を創りたい人を育てる時に、技術や方法論よりも、「自分流」「ファシリテーターの在り方」「ファシリテーション・アート」というキーワードが出てきていたので、個人の創造性、等身大の在り方を大切にするダンカン・ダンスの手法に近い事は確認していました。

その1週間前に私は、私の師と共に公演とワークショップを台湾で行っていて、その時にも、アートは自分の存在を深く感じることで、人と共鳴する方法だなと学んでいました。
最初は変な罪悪感を持って萎縮していました。「戦争の傷が台湾の人の心に残っていないか、もしそうだとしたら、日本人である私が前に立つことで、ダンカン・ダンスの普遍的な部分を伝えるときに、曲がってしまわないだろうか」と、心配していました。

でも、雲林芸術センターで900人のお客様に迎えられた後、それは取り越し苦労だという事が分かりました。私が私の身体と心をフルに使って伝えようとすれば、観る人は共鳴してくださると言う事が分かりました。私が百年前の踊りを踊っても、それは今生きている自分の身体と心の表現として、同じ時空間に居る人たちのスピリットと共鳴するのだと…そして、共鳴は壁を越えるという事。台湾の人々との交流は、私が勝手に自分の中で創っていた壁を壊してくれました。

この経験から、淡路青年の家に集った参加者の人たちが、自分の身体と心をフルに感じて、皆が共通して持っているスピリットに(集合的無意識、トランスパーソナル・セルフ)到達できるような場を創りたいとより思いました。

「自分流」とは、まず「自分の身体と心を感じること」から始まると私は思います。

淡路島の美しい自然は、私達の感覚を開いてくれました。
山、海、木、花、鳥、海草、波、炎を観る、聞く、触る、動かす、嗅ぐ、味わう事を、自分達の身体で行うこと。身体を持って生きている自分を感じるって、幸せです。

海を見てそれぞれが発見した感じを動きにしてもらいました。それをグループでシェアした時に、ある人は全く動かなかったのですが、真似してその形に「成った」ときに、「ああ、これは海だ。」と身体が感じました。参加者一人ひとりに深い海の秘密を教えてもらったようでした。

このようにして、自然を探索しながら水、火、地、風の要素を感じ、自分のやり方で表現し始め、アルケミー(錬金術)の準備が出来ました。ユングが心理学で比喩として用いたアルケミーの目的は、無から「ゴールド」を創る事。そして、イメージとして用いた神話「くにつくり神話」も無から、島を創るお話しです。「くにつくり神話」では、イザナギ、とイザナミが下界の混沌をかき混ぜて最初に作ったのが、オノゴロ島=淡路島。そして二人は淡路島から日本の島々や、神々を生んでいきました。その淡路島で創世神話を満月に踊る事が出来るなんて!

淡路島「くにつくり神話」のダンス浜辺では、波打ち際で、山北さん(山ちゃん)のドラムのグループが、波の音と呼応してドラムを叩くワークをしていました。「オノゴロ島を作るのはここだ!」と直感し、ダンサー達は一言も発さずにドラム隊を囲んで行きました。

そして、一人ひとりがイザナギ、イザナミとなって波をかき分けていきました。
いつの間にか、島をスカーフで創った後に、ソロダンスが始まりました。
皆、自分流の動きを生んでいきました。一人ひとりが全く違う神様のようでした。
皆がゴールドのように輝いていました。

踊りをやっていて、このような場に立ち会えることが、一番幸せに感じる瞬間です。
波の中に入って場をサポートしていても全然気になりませんでした。(後で風邪をひきましたが!)

一人ひとりが、自分のやり方で動く=自分流の原点であり、自分で在りながら、皆と繋がっている部分=スピリットの体現。本当に素晴らしかった。


ワークが終わった後、国立淡路青年の家の主宰する「夕べの集い」に出ました。
国旗掲揚の時、子供も大人も軍隊の動きで向きを変えなければいけないのを観て、恐ろしくなりました。これが日本の標準の体育教育だったら、軍事教練と変わらないということ。身体から強制されたら、心に入ってしまいます。

その時迷わず、「浜辺で踊った踊りを全員に見てもらおう」と思いました。皆の自分流の動きを。山ちゃん達の音楽は、高く低く支えてくれて、又共振する時空間を共に作りました。生音は本当に素晴らしいです。それだけで、元型的普遍的な場を創ります。

自分の中にある生命の動き、強く輝くゴールドを感じながら、ダンサー達が、自分流でこれからも動いていってくれたらいいなって思います。
沢山の輝きをありがとう!

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コメント

投稿者: まなみん

たのしそうですね~
よかったですね~

2007年05月16日 07:27

投稿者: りすみん

“「自分流」とは、まず「自分の身体と心を感じること」から始まること”。力強い言葉ですね。国旗掲揚の強制は心が痛みます。その場に、あえて自分流の踊りで向き合った勇気と行動力に拍手! 二度と戦争への道を踏むことのないように、見る人の心をも動かす自分流ダンスを踊り続けてください。“身体から強制されたら、心に入ってしまいます”。本当にそう思います。だからこそ、強制を振りほどき、自分自身へと還してくれるダンスは平和へとつづく道! ますますのご活躍を期待しています。

2007年05月18日 05:13

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プロフィール

佐藤 道代佐藤 道代

モダンダンスに日本の身体言語を融合し、元型的身体言語を追求する舞踊家。
津田塾大学卒業後ロータリー財団奨学金にて留学したニューヨーク大学より修士号及び舞踊教育学科長賞を受賞。自作を日本(EXPO2005)、米国(国連)、英国(大英博物館)等、各地で公演。NYタイムズ紙に「スタイル・内容ともに洗練された作風」と評される。1998年ミュージカル「王様と私」出演。2004年NYジョイス・ソーホーで、日本女性に関する自作品の公演を行い連日満席となる。2003年、2004年舞踊批評家協会新人賞ノミネート。2005年Die Pratze観客賞受賞。2007年エッセイ「イサドラ・ダンカンの舞踊理論とスピリチュアリティー」を、「スピリチュアリティーとは何か」(ナカニシヤ出版)内にて出版。

URL:http://home.att.ne.jp/alpha/idance/

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