佐藤 道代のダンス:身体を感じ、心を表し、フルに生きる試み

アジュが帰ってきた・・・生徒の発表会「蝶々」

今年のハロウィンは、何だか本当にTrick or Treatでした。
猫が雲隠れしたのが、Trick
でも最後には、発表会で「蝶々」を生徒と踊ることができてTreat
とても大切な事を学びました。

猫のアジュが、病院のカラー(襟巻き)をつけたまま脱出してしまい、一晩中探したのですが帰ってこなかったのです。普段ならそのくらい気にしませんが、病院のカラーは、人間の首の損傷に使うものと同じで、猫は前しか見えなくなり、前後不覚のような状態になっていました。アジュはよほどこれが嫌だったのでしょう。人間にいじめられたと思って、私が気を抜いた瞬間に脱出してしまったのです。それも、痛いだろうにカラーをブロック塀や金網にぶつけながら・・・

数時間、何度も呼びましたが帰ってこないので、だんだん不安になって、警察に行ったら、「今日は似たような、猫ちゃんの遺骸はあがっていない。」と言われました。

その時に、自分の身体の何処が落ち込んで凍るかを鮮明に感じました。
鎖骨と胸骨の接合部分が内側に落ち込むように凍り、動けなくなってしまいました。

過去に喪失のニュースを経験したときの、様々な記憶が急に戻ってきて、絶望的な気分になりました。「死んでしまった。帰ってこない。」という気持ちが、勝手に頭を駆け巡り、家に帰っても、ご飯を食べる気にもなれませんでした。(食べるのが大好きなマークも同じでした。)頭の中に流れる、お葬式のシーンを消そうと、そのまま寝てしまいました。

翌朝、6時頃玄関を開けると、アジュの鈴の音と共に、空き地に走っていく姿を見かけました。マークも「声を聞いた!」と起きてきたので間違いないと、希望を持って、玄関と猫の出入り口を絶えず開けて呼び続け、更に近所に張り紙をさせてもらって探し続けました。皆さんご親切に、駐車場で見たと教えてくださった方も出てきました。

呼び続けて午後3時頃、返答するアジュの声が返ってきました。その声を辿っていくと、何と家から30メートルくらいしか離れていない、家の裏のマンションの基礎の下に20センチの隙間があって、そこに一人でじっと隠れていました。同じ猫の仲間にもカラーのせいで近づけなかったのでしょう。

ここで逃したら一生後悔すると思って、そのマンションの基礎の近くに寝て、名前を呼び続け出てくるのを待つことにしました。

「アジュ、ごめんね。愛してるよ。」と呼び続けましたが、アジュは怒っていました。
ご飯を据えて、2時間待ちましたが、出てきません。
呼んでいるうちに、旅行に行くと行って、帰ってこなかった父のことを嘆いている自分にも気がつきました。

無理やりご飯で釣ろうとしたら失敗して、アジュは益々奥に引っ込んでしまいました。
だんだん寒くなってきたので、毛布と懐中電灯、そして本を持ってきました。
空には三日月の近くに金星が出ていました。

今日は、ここで野宿するつもりで本を読もうと懐中電灯の光で本を読み始めました。
今年オフラ・ウィンフリーのネット番組で話題になりましたが、何だかずっと終わらせられなかった、Eckhart Tolleの “A New Earth”を読み進めると、「the joy of Being」という言葉が出てきました。

「私は生きていて嬉しい、アジュが生きていてくれて嬉しい」という気持ちを、そのまま感じることを急に思い出しました。
自分がそれまで、必死に悲しい声で呼んでいたことに気がつきました。
同時に、これは過去の喪失のトラウマをもう一度流して、「the joy of Being」を感じる事のために起きているのかもしれないと感じました。

都会のマンションの地面の上で、本を読みながら星を眺め、猫を呼んでいる、何だかこんな事をしている自分も楽しくなってきました。
明日の生徒の発表会に、どうやったらベストで出られるかな、何て考える余裕も出てきました。

それから3時間後、アジュは自分から外に出てきて、ダッシュして家の方向に逃げていきました。急いで家に帰って庭を見ると、家に入ろうかどうしようか迷っているアジュの姿がありました。

「おうちだよ。おうち。」と言うと、ぴょこんと入って、一目散に自分の部屋まで駆け上がりました。
めでたく、カラーがはずれ、アジュは家猫として帰ってきました。

次の日、教え子のユクちゃんが、たった一人で私とのデュエット、グルックの「蝶々」に挑戦しました。

アジュが帰ってきた・・・生徒の発表会「蝶々」


舞台袖で、強烈な照明が当たっているのに動じずに一緒にユニバーサル・ムーブメントで集中しているのを見て、とても頼もしく感じました。

そして、美しい「蝶々」となって、舞台中を飛んでくれました。
「The joy of Being」の体現そのものでした。

アジュとユクちゃんに、大切な事を教えてもらいました。ありがとう!

以下は、ワークショップと公演のご案内です。


■A. ワークショップ

▼1. イサドラ・ダンカン・ダンス
11月22日 (Sat) "Water"
12月20日 (Sat) "Fire"
1月24日 (Sat) "Earth"
1月31日 (Sat) "Air"

Place: 千駄ヶ谷津田ホール2F 同窓会室 
http://tsudahall.com/THHP/annai.html
Time: 10:15 - 12:15 p.m.
Class Fee: 3500 yen (including. references costs)


▼2. 「イデオキネシス」と「イサドラ・ダンカン・ダンス」

Ideokinesis & Isadora Duncan Dance: Use of Imagery in Alignment and Expression"
日時: 11月29日 (Sat), 10:00 a.m. - 15:00 p.m. (1 hour lunch)

Place: 津田塾大学小平キャンパス交流館
http://www2.tsuda.ac.jp/koryukan/index3.html

Class fee: 1700 yen(※申込終了!)


■B.公演

▼1.11月20日(木) 16:00p.m.「世界舞踊祭支援事業」Dance for All! World Festival

赤坂区民ホール(03-5413-2711)
http://www.koyukai.org/akasaka_guide.html
チケット2000円
イサドラ・ダンカンの作品を踊ります。


▼2.12/7(日)16:00~ ダンスシード2008-わたくしの森羅万象- 

佐藤道代 峰本春菜 朝倉千絵 オカザキ恭和
自分の作品を踊ります。
場所:千駄木Brick One
http://brick-one.com/brick-one/
http://www.danceseed.com/

料金:前売1,500円 当日1,800円 中学生以下500円 
※上記必ず、ご予約下さい。 
お問合せ、ご予約は:Email: michsato@cba.att.ne.jp

アジュが帰ってきた・・・生徒の発表会「蝶々」


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コメント

投稿者: たあの

ご無沙汰してます。
日々成長を続けている道代は、とっても素敵です。
アジュちゃん、帰ってきて良かったね(^-^)

ワークショップ、いつかいつか・・・と思いながら月日が
流れていってしまってますね・・・ごめんなさい。
今年が終わる前には参加したい。

最近またちょっと不調気味・・・。
この不調を突破するきっかけを作らねば、ともがく毎日です。

ワークショップ、参加できそうな日を見つけてまた連絡しますね。

では、マーク様にもよろしく♪です

2008年11月09日 23:46

投稿者: まなみん

ああ、よかったですね・・・
いろんな気づきもあって。
読みながら同じ気持ちになって、はらはらどきどきほっとしました。

2008年11月11日 06:38

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プロフィール

佐藤 道代佐藤 道代

モダンダンスに日本の身体言語を融合し、元型的身体言語を追求する舞踊家。
津田塾大学卒業後ロータリー財団奨学金にて留学したニューヨーク大学より修士号及び舞踊教育学科長賞を受賞。自作を日本(EXPO2005)、米国(国連)、英国(大英博物館)等、各地で公演。NYタイムズ紙に「スタイル・内容ともに洗練された作風」と評される。1998年ミュージカル「王様と私」出演。2004年NYジョイス・ソーホーで、日本女性に関する自作品の公演を行い連日満席となる。2003年、2004年舞踊批評家協会新人賞ノミネート。2005年Die Pratze観客賞受賞。2007年エッセイ「イサドラ・ダンカンの舞踊理論とスピリチュアリティー」を、「スピリチュアリティーとは何か」(ナカニシヤ出版)内にて出版。

URL:http://home.att.ne.jp/alpha/idance/

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