
現在、『いましめを解かれた魂』という本を翻訳しています。アメリカでヨガの道場を開いている人物が書いたもので、自分というものをさまざまな角度から探求した本です。アメリカではかなり話題になっており、とくにカウンセラーやセラピストに読まれているようです。でも、日本語にするのは難しい、かなり手こずっています。
著者の主張の核心は脱同一化にあります。つまり、自分の自覚に昇るもの──思考、感情、感覚など──を次々にあげつらい、それらが意識の対象であって「自己」ではないということを証明していくのです。本当の自分とは最後に残ったアウェアネス、すなわち純粋意識だというわけです。
そのうちにこのブログで詳しく紹介していくつもりです。(菅)
昨年の年末、膀胱がんの手術をした立花隆のドキュメンタリーを見ました。現在、がん治療がどこまで進歩し、いつごろ人類はがんを征圧できるのか? ふたたびがんが再発したら、どのような生き方を選択すればいいか? という二つの疑問を胸に、世界のがん治療の最前線を取材する番組です。
がんは細胞分裂する際の情報伝達の不備によって生じるのですが、絶え間なく細胞分裂を繰り返して自己刷新する道を選んだ人類にとって、宿命的なものだと立花氏は語っています。この不備のメカニズムはまだ全然解明されておらず、解明されるまで少なくとも半世紀、ひょっとすれば一世紀以上かかるだろうというのが最前線の科学者たちの見解のようです。つまり、人類によるがんの征圧は半世紀以上先になるということです。
であるならば、今度、がんが再発したら、治りもしない治療を受けて生活の質を落とすようなことはせず、戦う(苦悩の原因は戦うことにある)のをやめて、死を受容し、死ぬ間際まで笑いを失わない生活をしたい、という結論に彼は達したようです。とくに彼は現在69歳で、もう十分に生きたという感覚があるようです。この先、がんと戦って悲壮な顔をして生きるより、死を受容して、笑いながら生きたいというのです。
彼のような選択をする人がこれから増えてくるのではないかと思います。
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