

新刊がでましたのでお知らせします。本格的なスピリチュアル本です。
二〇一二年一二月二一日にマヤ暦が切れてしまうことにかこつけて、さまざまな地球滅亡説が行き交っている。もっとも多いのは地球の磁極の逆転や太陽の黒点活動の極大化といったなんらかの天体現象に誘発されて、天変地異が起こり、地球が滅亡するというものである。そうした黙示録的な予言は映画館でみるには面白いかもしれないが、現実的に考えれば、にわかには信じがたい。
一方、マヤ暦が終わるのを機に新しい時代に突入すると考えている人たちもいる。アセンション(次元上昇)の考えもそうだが、そのような人たちのほとんどは新しい時代を地球規模のスピリチュアルな時代と考えているようだ。つまり、自分の本性が自我や身体ではなく、霊的なものであることに多くの人々が目覚める時代だということである
全米で六〇〇万部売れたといわれている『ニュー・アース』(エックハルト・トール著、吉田利子訳、サンマーク出版)はそのような新時代の到来を告げる啓蒙の書だと言ってもいいかもしれない。ドイツ生まれのエックハルト(本名はウルリッヒだが、ドイツの神秘主義者、マイスター・エックハルトにちなんで改名)は一九七七年、二九歳のとき、うつ病による自殺衝動に悩まされている最中に覚醒体験をし、それからの二年間、ロンドン市内の公園のベンチに坐って、深い至福状態に浸っていたという。その後、彼の元にさまざまな人間が集まってきて話を聞くようになり、スピリチュアル・ティーチャーとしての地位を確立していった。「目覚める」ことは現在、危機に瀕している人類の使命であり、今後、さまざまな形で「目覚める」人たちが出てくるだろうとエックハルトは予言している。
エックハルトと並んで、現在、すぐれたスピリチュアル・ティーチャーとして多くの人々の関心を集めている人物がもう一人いる。一四年間、禅の修業を積んだ後、覚醒体験を経て禅の教師として迎えられたアジャシャンティ(サンスクリット語で根源的な平和という意味)である。彼の摂心を受けて、本来の自分に目覚める人たちがたくさんでてきていると報じられている。
前置きが長くなったが、本書の著者であるマイケル・シンガーもまた、一九七〇年代の初頭、経済学の学生として博士論文の執筆にあたっている最中、深遠な覚醒体験をし、その後、精神世界に深く関わるようになった人物である。一九七五年、彼はフロリダ半島の真ん中に位置するゲインンズビルという町の郊外に宇宙寺院(The Temple of the Universe )という名のヨガと瞑想のセンターを建て、人々が心の平和を得るのを助けている。
本書はマイケルの三番目の著作で、二〇〇七年に初版が刊行されたが、ストレートに「わたしは誰か?」という普遍的かつ根源的な問題に切り込んでいくスタイルが話題を呼び、エックハルトやアジャシャンティらの著作と並んで、多くのスピリチュアルな探求者たちの心を捉えた話題の書である。
日本でもつとに知られているスピリチュアル・ティーチャー、ディーパック・チョプラは本書の優雅なシンプルさを絶賛し、「本書を注意深く読んでもらいたい。そうすれば、永遠を垣間見る以上の恩恵が得られるだろう」と述べている。また『神との対話』シリーズで知られるニール・ドナルド・ウォルシュは、「最初の章を開いたときから、本を閉じ終わるまで、あなたの人生を変えずにはいない本に出会った」と書評の中で書いている。
スピリチュアル・ブームと言われるようになってから久しいが、これまではどちらかというと霊的能力やサイキックな能力の方に関心が寄せられ、スピリチュアリティの本質である「覚醒」や「目覚め」というものは一部の人だけが味わえる特別なこととして敬遠されるきらいがあったような気がする。しかし、エックハルトやアジャシャンティ、マイケルのような人物が登場してきたことによって、「覚醒体験」が決して特別なことではなく、誰にでも起こりうるものだということが知られるようになれば、本格的な覚醒の時代が幕を開けるかもしれない。本書はまさにそうした幕開けを告げる画期的な著作だと言えよう。
本書のテーマはずばり「わたしは誰か?」ということである。その永遠の問いに答えるために、マイケルは「わたしではないもの」を一つ一つそぎ落としていくという手法を用いている。これは禅や瞑想など、東洋的な技法ではよく使われるものである。その過程で読者はいままでてっきり自分だと思い込んでいたさまざまな側面を見せられ、手放すことを勧められる。その先に何があるかは、どうか読者がご自分で確かめてもらいたい。「目覚める」ことの意味がこれほど明快に解き明かされているのは、著者自身の体験がベースになっているからだろう。
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