
数日前の新聞で、神戸の六甲山で遭難し、二四日後に救出されて助かった三五歳の男性の話を読みました。今年の十月七日に山頂付近で同僚とバーベキューパーティをした後、一人で下山しようとしたらしいんですが、途中で道に迷ってしまい、崖から転落して骨盤の骨を折ってしまったんです。当初のニュースでは、バーベキュー用のタレを舐めながら飢えをしのいでいたと報じられていましたが、どうもそうではないらしく、骨折して動けなくなってから二日後に意識を失ってしまったと言うんです。
妻がテレビを見て教えてくれたんですが、意識を失う前に、ものすごく美しい草原にいるビジョンを見たということです。いわゆる臨死体験ですよね。それから二十二日後の三十一日に心肺停止状態で発見されたんですが、翌日の夕方に意識が戻ったというんです。不思議ですよね。二十二日も心肺が停止していて、生き返るなんて。医師の話では、「冬眠状態に近かったため、臓器機能は落ちたが、脳の働きは回復したと考えられる」というのですが、人間は熊みたいな動物と違って冬眠する習性はありませんから、普通は脳がやられてしまうと言われているんです。ましてや飲まず食わずですよ。それなのに、この方の場合は違った。人間の可能性というものを考えるのに、貴重な資料になるのではないかと思います。
わたしはこの記事を読んで無意識の力を感じました。もし意識をもっていたら、こんな寒い時期に、たとえうまい焼肉のタレをもっていたとしても、とても二十二日間も生きてはいられないでしょう。たとえ仮死状態でも。というのも、人間の意識というものは、あれこれ考えて、どうしても限界を設定してしまうクセがあるからです。わたしは三十代の終わりに不眠症になったときにそのことを痛感させられました。何日も眠れないでいると、もうだめだと意識の方が先にまいってしまうんです。もし意識的にでも、自分は眠らなくても大丈夫なんだと強く確信していれば、相当体力はもつということをわたしは体験しました。意識がある限界を突破すると、無意識の力が沸いてきて、ギアが一段切り替わるのではないかと思うんです。そのときにスピリチュアルな体験のようなものが起こるんでしょうね。生還したこの男性にいつか話を聞いてみたいですね。
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