
これまでたくさんの男性とめぐりあってきましたが、あやかりたいと思う男性はあまりいません。でも、先ごろ亡くなった俳優の森繁久弥はあやかりたい男性の一人です。彼が人と話すときの、あの独特の間の取り方。あれは完全に自分が確立していないとできない間の取り方です。本気なのかとぼけているのか分からない彼の話し方を聞いていると、自己を確立した人だけが持てる自由さを感じるのです。それは虚実の狭間にいて、いつでもあらゆる方向に踏み出せる自由さです。僕なんかつい話しの流れに引きずりこまれてしまい、しゃべっているようだけど、ただロジックに踊らされていることが多いんです。僕だけじゃなくて、ほとんどの人がそうであるような気がします。既製品の言葉を鸚鵡返ししているだけで、そのことにも気づいていない人が多い。スピリチュアリティやエコロジーにはまっている人たちも例外ではありません。自分の言葉をもちたいものです。
僕が森繁にあやかりたいと思うもう一つの理由は、何をしても、何を言っても、女性に憎まれない点です。彼は若いとき、とにかくかたっぱしから女性を口説いていたと言われています。それをすべて笑い話にしてしまうしたたかさを、一体どうして培ったのでしょう。うらやましい限りです。人間のエロスは、当人の心の持ち方で、うしろめたいものにもなりうるし、笑えるものにもなりえます。でも、ただ開けっぴろげだけでも、エロスがもっている神秘的なあやうさは表現されません。インターネットにポルノが氾濫していますが、エロは感じさせても、エロスを感じさせるものはほとんどありません。森繁のエロスとの関係は、やはり彼の人間性が反映されているのでしょう。
とにかく森繁久弥には楽しませてもらいました。ご冥福をお祈りします。
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