
翻訳塾が順調に滑り出した。人に翻訳の技術を教えるのははじめてのことなので、いろいろ考えさせられることも多いが、添削指導することで、わたしにとって勉強になることもたくさんある。これまで何気なくやっていたことを、いちいち言葉で説明しなければならないからである。
添削していてもっとも面白いのは、翻訳する人の心のあり方が文章に如実に反映されることだ。たとえば、大胆で行動派の人は、あまり文法を気にせず、「やっちゃえ」という感じで訳すことが多い。それがツボにはまると、思いがけない名訳になるのだげ、
どちらかというとツボにはまらないことが多く、「おいおいまってよ」という気持ちになる。
機能的な英語と違って、日本語の表現はバリエーションに富んでいるので、適切な言葉の選択に苦労するのだ。わたしの翻訳の師である吉福伸逸さんは、翻訳とは瞑想であると言ったが、まさにその通りだと思う。心の中の雑念が文章ににじみ出てくるのだ。
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