toniのおかえりなさい ~こころ・からだ・スピリットの放浪~

2008年05月

作る喜び

おかえりなさい。

食禅のレポを6回書いてみて、自分でもうろ覚えなことが多いので、インターネットでいろいろ調べたり、師匠から本を紹介してもらったりしました。あれこれ悩んでるうちに、注文した禅と食に関する本が続々と届きました。ぎえー・・・今度は家が本だらけじゃ~。いつ読むねん?!ついつい買っただけで満足してしまう私。地味に会社の昼休みに一人読書に励むOLプレイのtoniですわ。

食禅を習いながら、このブログを書いたりしてるうち、いろいろと気づいたことがあります。しばらくそんなことを、書いてみようかなと思いました。お付き合いくださいませな!icon:tea

私は18歳から洋菓子の職人見習で厨房の仕事に入り、20歳からエスニック料理のレストランで勤めはじめてから、15年近くいろいろな厨房で料理を作りました。個人経営の小さなお店が多かったけど。
ある時は、ビュッフェスタイルのベジタリアンレストランで一日200人分を毎日作った頃もありました。ビュッフェはすごいです。戦場のようです。
今日のメインディッシュ、大きな天板で出来たての豆腐ラザニヤをホールに出した・・・と思ったら、1分もしないうちに振り向けば、天板の隅っこに「一口分」しか残ってない~!!空の皿を出しておくわけにはいかないので、次のラザニヤが出来上がるまで、最低でも15分かかるから、とりあえず大急ぎで豆と豆腐のシチューをドーンと出してほっと胸を撫で下ろす。。。みたいな毎日でした。

カナダの山の上の自然治療施設、弁当屋、小学校給食、老人ホーム、大学の学食などもありました。
学食はすごかったですね。お風呂くらいの鍋で、ショベルみたいなのを使ってカレー作るんですけどね。昼食時間になると、それまで静まり返っていた食堂に、一気に3~400人が押し寄せます。
カウンターに並んで「おばちゃん!カレー5つ!」「おばちゃんA定食大盛り4つ!!」とか叫ばれるんです。(やかましい!私まだ30歳じゃ!!!と内心思ってた)

私の部屋より広い冷凍庫に閉じ込められちゃって、凍りそうになったりとか(笑)大きい厨房は苦手だったわ、とほほ。

初めて小さな中東&エスニック料理の厨房に入った20歳の頃、それまで家で作ってきた料理とは全く違う世界に驚きました。
厨房さいこーー!まるで宝島を冒険してるみたいな気分でした。
珍しい食材や、家族なら絶対拒否しそうな味付けや、毎日が料理との出会いに満ちていたから。
その嬉しさたるや。まるで恋してるような感じ。
家と同じ調味料までもが、それこそキラキラ輝いて見えるわけです。
なんであんなに嬉しかったのかなあ。やっぱり料理が好きなんよね。
業務用の大きなトマト缶を大きな缶切りで空けるだけでもウキウキしてたもの。(これは今でも好きです)

当時、料理を覚えられる喜びで、毎日が楽しくて楽しくてしょうがなかったのです。もちろん私がお店の料理を1から作れるわけじゃない。
オーナーのアシストから始まります。このメニューにはきゅうりのスライス3枚、トマトスライス2枚、パセリちょっと・・・とか。オーダーが入ったらシシカバブの肉としし唐を串に刺して渡す、とか。
毎日、食材に触れることが嬉しくてしょうがないので、どんな小さな作業でも、私があまりにも楽しそうにしているので、オーナーが喜んで、彼が各国を旅して身に付けてきた味を惜しげなく見せてくれました。
店に入って半年後には、オーナーが休む時に、私が一人で店の料理を作ることになりました。自分が仕込んで作った料理を、お客様がお金を払って食べに来てくださる。あの時の緊張は今でも震えるほど体が覚えています。

美味しいと言ってもらえた時は、密かに厨房で嬉し涙を流しました。また、料理が残った皿を見ても、悲しくて涙が流れたものです。

次第に店のメニューは目をつぶっても同じ味付けができるようになってくると、新鮮味はなくなっていき、同じメニューばっかり作るのが嫌だと思ったりしました。
そんな時期に、料理そのものより、「無駄のない動き」に私の意識が向き始めました。

厨房は危険要素があふれています。ガス、火、熱い油、熱湯、鋭利な刃物やオーブン。床に油が少しでもつけば、熱い鍋を持ったまま誰かが滑って転び、たまたま通りかかった人が大やけどして、転んだ人は頭を打つかもしれない。
厨房の中で危険な場所を各自が把握していることが、事故防止につながります。例えば、床の一部のタイルが取れて、つまづきやすい場所や、棒が出てるところがあるとか、あの鍋は取っ手の木が外れやすいとか。そういうことを、頭よりも体に覚えこませます。それによってその場所での動きを作っていくのです。
初めての厨房に入る時。今でも私はまずその事をします。
自分の身の安全を先ず大事にすることが、他の人の安全を守ることになるからです。

いそがしい時、厨房に一人きりだと自由自在に動けます。狭い厨房に2人以上の人間が居ると、相手にも自分にも、そしてもちろんお出しするお料理にも、危険が生じないようにするため、細心の注意が必要になります。何時までに料理を仕上げる、失敗は許されない、といった緊張で、感覚も研ぎ澄まされています。自分の全身が手になり、目で、耳で、鼻にもなります。

って、これをそのまま想像したら、でっかい手のひらに顔がある妖怪みたい?朝出勤したら、そんなのが厨房に立ってたら、結構おもしろいけどね。邪魔だと思うけど(笑)

料理って、美味しいものを作るという作業なのですが、現実の厨房では、常にスポーツみたいって思うことが多いです。体がすれ違うのがやっと・・・っていうサイズの厨房で、忙しく動き回る時、誰にもぶつからず、相手の邪魔にならずに自分の分担を時間内に完璧にこなす。できるとめっちゃ楽しいんです。あたしカッコええんちゃうん?!って思うことしかり。緊張してるけど、リラックスしてるので、もうその場に居ることがすごく楽しい。

しかし調子に乗って気を緩めたら、味にも影響するし、また怪我や失敗にもつながります。

当時、週末などはトイレにもいけないほどの忙しさだったので、まだまだ20歳そこそこの私は、味を作る人間というより、厨房という運動場で調理試合をしている気分でした。何かに勝とうとしてたんです。それが何かって?「何もない」のです。

その頃の自分には、あまり料理への思いが無かったな、と今になって思います。

続く。


~お知らせです~

icon:cherry織りと食のコラボWSを開催します。

気まま仕立ての自由空間・風のみちオープニング記念ワークショップ

感力をめざめさそう
~五感で感じる、織(しょく)・食(しょく)ワーク~

日時:2008年5月24日(土)・25日(日)11時~15時
 ※どちらか一日参加でも、両日参加でもOKです。
場所:気まま仕立ての自由空間・風のみち
   門真市野里町37-5 TEL&FAX:072-865-1115
   http://www.kazenomichi.com
参加費:5000円(ランチ込み)
定員:両日6名

くわしくはこちらへ
http://www.kazenomichi.com

icon:heart_shake
食禅in 伊勢
2008年6月21日 二見浦にて
詳しくはこちらへ↓
http://sq-life.jp/event/003420.shtml

食禅(じきぜん)~その⑥:最終回~

おかえりなさい

しばらく間が空いてしまいました。これが食禅のレポ最終回なのれす。

さて、皆さん食べ終えられたようです。
和尚の指示があり、香湯(こうとう)がまわります。

浄人が両手でやかんを持って現れます。香湯(こうとう)と呼ばれるこれは、要するにお茶です。このお茶を食べ終えた雲水に順に注いでいきます。使用した応量器を香湯で洗うためです。やかんの持ち方も、注ぎ方も動きが決まっていて、ここにも一切の無駄がありません。この応量器に関わる全ての動きが流れるようにできたら、それはもう美しい舞踊じゃないかしら、と想像する私です。(もちろん私はまだまだできませんぜ)
人や物にぶつかったり、音を立てたりしないように注意するのは、個人個人の修行を妨げないための配慮なのでしょうね。そして、さらにたくさんの理由があるのだと思います。

受ける人は、頭鉢にお茶を注いでもらう時も、手にもった匙で「これでいいです」の合図をします。喉が渇いているからといって、頭鉢にタップリとお茶を注いでもらったとしたら・・・

このお茶、普通の食事みたいに、すぐにズズ~って飲んじゃうわけじゃないのです。

香湯が注がれると、登場するアイテムが居ます。

たくあんです。
toniのお気に入り、男前のお兄ちゃんが漬けてくれた、あれです(バシ!!警策その⑤)

たくあんを箸で取り、これを使って、頭鉢から丁寧に洗っていきます。少し傾けたりしながら、内側や淵を撫でて器に付いた粥を落とします。洗い終えたら、次の器に香湯を注ぎます。こぼしたり大きな音を立てないように気をつけます。そして次の器を洗う・・というように、4つの器を順番にたくあんで洗います。

つまり!最初タップリお茶を入れちゃった人は、二番目の器に香湯が入りきらない場合もあるのですね~。でも頭鉢は仏さまの頭ですから。口をつけてはいけないのです。あらら~、ピンチだね~。

ひとつずつ器を洗い、布巾で拭いて、音を立てないようにまた重ねていきます。しつこいようですが、箸や匙の舐め方、拭き方の動作も決まっていて、これがとても上品で美しいのです。
お見せしたいわ。

全て洗い終えて、1番小さい鉢に残った香湯。ここには全ての食べ物のエキスが入っています。これを飲みます。実際には桶が回ってくるので、小さいお椀の中の浄水を相手に見えないように右手で隠しながら一口分残して流し、残りを飲み干すそうですが、今回は全て飲み干します。

これに抵抗がある人は、少なくないと思います。私はここに生命の全ての歴史が、全ての先祖達の交わりが、今この瞬間、この一杯のお茶の中で起きているんだ、という気がします。それを飲むということは、宇宙全体を飲むっていうことなのでは・・って。しかも同じ食べ物が二度入ることはありえませんから、お茶の味も当然、毎回必ず違う味になるのです。一生に1度きりの味。すごいよね~

飲み終えると、今度は鉢単を畳み、器の上に乗せ、袱紗で包む作業が待っています。この食禅ワークが始まってから皆さん終始首をかしげておられるので、明日は原因不明の首筋肉痛じゃないか?・・・と思いながら見ていた私(バシ!!す、すんません・・・)。

なんとかかんとか、応量器を包み終えました。最初と同じ。地味な茶色のお弁当箱みたいなのが並びました。
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ひととおり片付けが終了した後、忍昭和尚が「五観の偈」のお話をしてくださいました。

「『いただきます』とは、『命をいただきます』という感謝の言葉です。皆さんは、自分がこれからいただく目の前の食べ物について、どこまで感謝をしていますか?」と忍昭和尚が問いかけます。

「料理してくれた人」「食材を作ってくれた人」「自然」・・・という言葉が出ました。

「私は、感謝というと、もっと前の、生命の始まりまでさかのぼっていくんですよ」

皆さんが真剣に緊張して話を聞いていると、和尚はところどころに面白いエピソードを登場させて場を緩められます。緊張と緩和。和尚のお話を聞いていると、いつのまにか、命に向き合うっていう教えが、そっと羽衣が心にかかったみたいに沁み込む気がするのです。

静かな呼吸みたいな、自然な教育法だ・・・と感じました。

映画「めがね」で、主人公の女性がフラリと訪れる宿は、とても自然に「たそがれる時間」を与えてくれる。彼女はストレスを溜めて都会から逃げるように小さな南の島にやってきた。しかし、たそがれたくない彼女は、あまりにもノンビリしてる宿が気に入らず、ほかの宿に行きます。次の宿は、「自然農体験ができる宿」。
そこのオーナー女性は「ここでは、わたし達が大地に恵まれて生かされてるってことに気づいてもらうの!土に触れて、大地の恵みを実感して感謝するのよ!ね?!分かるでしょ?」みたいな「押し付けがましい教育」でした。

主人公の女性は「こりゃ無理だ!」と一目散に逃げ出すわけです。
そしてあらためて、最初の宿の「たそがれ気分」の自然さに、心を開いて入り込んでいく。

忍昭師匠が教えてくれる「感謝」も、そんな自然さがあります。
あれ?気が付いたらその気になって感謝が増しちゃったわ~、みたいな。

すごいな~、かっこいいな~!と、ただただ尊敬です。思いっきりミーハーな感想でごめんなさい。

このブログを読んでくださって、食禅に興味を持ってくれる方が居られたら、是非いつか参加してください。一生に1度でも、こういう食との向き合い方を体験してもらえたら、私も幸せです。

先日、忍昭和尚が小田原地域限定のラジオ番組に出演されたそうで、その記録がこちらにあります。

soulbeauty.net
http://blog.soulbeauty.net/index.php?itemid=133914

最後に、器を洗い終えた香湯を飲み干すことについて、ラジオでの忍昭師匠の言葉を引用させていただきます。

 : 「食禅」は「コミュニケーション・アート」だと私は考えています。食事の中の、研ぎすまされた部分です。その中に、お釈迦様からの2000年の時の流れを受けて「今」があるんです。そのお釈迦様とのコミュニケーションであり、800年間のお坊さんとのコミュニケーション、大地とのコミュニケーション、宇宙から繋がった自分と食べ物とのコミュニケーション。
 食事って、本来そういうコミュニケーションなんです。素晴らしいアートだと思います。

―――片付ける時も、食事が終わると全部の器をタクアンとお湯で洗って、そして最後にそれを飲み干してしまう。

 : 本来はそれを流してしまうんです。でも食べ残しはもったいないので、それを飲み干してしまうんです。自分が下水になるということですね。そして、必要な栄養分と不要なものとを体の中で分けて行くんです。

___そして、飲み干すと同時に器もキレイになっている。

 : エコでしょ。(笑) 最後は「如天甘露味」と言って、天の極楽のコズミック・スープなんです。
 本当の原点ですから、これは世界のどこへ行っても分かってもらえます。茶道もブームになっていて、ものすごく真剣ですね。

        P4133953.jpg

お知らせ
食禅in 伊勢
2008年6月21日 二見浦にて
詳しくはこちらへ↓
http://sq-life.jp/event/003420.shtml

感力をめざめさせる~さをり織りと食のワークショップ

おかえりなさい

さをり織をしている友人が織りのワークショップを開催します。

そして食の色、味、音を体感していただく、魔女ッ子ランチ付きです。
食事の時間も、ちょっとした「体感ワーク」を行います。
是非お越しください。


「感力をめざめさそう~五感を感じる、織(しょく)食(しょく)わーく~」

日時:2008年5月24日(土)・25日(日) 11:00-15:00
    どちらか1日参加でも、両日参加でもOKです。

場所:気まま仕立ての自由空間・風のみち
    (門真市野里町37-5)

参加費:5000円

定員:両日6名

詳しくは、風のみち又はkazehimeまでお問い合わせください。くわしいワークの内容を説明させていただきます。
          
大まかな流れとしては、
織りのワーク
「色を五感で楽しむ」(24日) 「織りで感じる」(25日)で
マフラー程度のものを織っていただきます。
その間に、
食のワーク「野菜を五感で味わう」(24日) 「食で感じる」(25日)が入り、その後、ベジタリアン料理の昼食。
そして、再び織っていただきます。

織りで刺激される視覚と触覚。
食で感じる味覚と嗅覚と聴覚。

五感を使って、感力、めざめさせてみませんか?

「風のみち」
http:www.kazenomichi.com

プロフィール

tonitoni

生まれついての料理人、フード・アーティスト。
カリフォルニア州認定クライシスカウンセラーでもあり、カリフォルニア州オークランドで性被害にあった人のサポートを体験。
ワークショップの通訳、翻訳、自然食ケータリングも行う。
国際交流基金日米センター(CGP)の「NPOフェローシッププログラム」フェロー第5期生。

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