
おかえりなさい
一つの出来事によって、過去を思い出し、思い出せたこで、さらに気づきが深まり、感謝の涙を流すことがありました。
私は過去の出来事や日付を覚えているタイプなのですが、その事が、大切なことに気づけるチャンスになってくれることが多いです。
ちょうど10年前、30歳の頃のことです。
私は、夫の暴力から逃げて、家もお金も全て無くしたことがあります。
あるのは自分と子どもの体と、少しの服と、自転車一台でした。
その頃、日本で暮らし始めました。小さな子どもがいるシングルマザーは、保育所に入所できないと、仕事ができません。日本の厳しさを痛感していました。
その頃は、本当に、たくさんの友人から助けてもらっていました。
その中の一人の友人に、ある男性を紹介してもらいました。
・・・というより、私が友人達に昼食を作っているところに、その男性が現れました。
その時、高野豆腐を鶏肉に見立てて作ったマリネを作っていたんです。 男性は、通りすがりに、マリネが入ったボウルに手を伸ばして高野豆腐を一切れ、つまみ食いしました。
もぐもぐ食べて、その男性が言いました。「お前、ええセンスしてるやん」と。
私は「なによ、このオッサンは?」って思いました。ぶっきらぼうな言い方だし、風貌はちょっと怖いし、正直、「ムカ」っときました。
その人は、続けて言いました。「お前、エエ料理作るわ。でもな、今、スランプやろ?お前、このままやったら、伸びないな。 自分のために泣いたこと、ないやろ? お前、下まぶたに涙がいっぱいたまってる目をしてるわ。 頭丸坊主にして、アホになりきるくらいの気持ちでやってみろ」、と。
私は初対面の人に、ズケズケと言われたことに驚くよりも、その男性の言うことが図星だったため、心臓が飛び出しそうなくらい、ドキドキしました。
その頃の私は、老人ホームの厨房で、毎日ミキサーで流動食を作るバイトをしていました。
料理はできません。ひたすら、毎日カレーやらオムライスやらをミキサーでドロドロにするか、または皿洗いです。職場の人間関係はすごく良くて、人生の先輩方に、悩みをいろいろ聞いてもらっていました。
でも、今まで自分が作ってきた、お洒落な料理はできません。
何もかもが、悪い方向に向かっているように見えていました。
私は、何も悪くないのに・・・って、被害者みたいに思っていました。
料理のアイデアが尽き果てて、何も浮かばず、料理をしたくない、と感じるほどでした。
生活するのが必死だったから?
それもありますが、実は、本当の原因は、「私は、創作料理のセンスがあるのに、なんでミキサーまわす仕事を、やらなきゃいけないの?」と、思い上がっていたことだと、今は理解しています。
でも当時は解ってなかったので、その男性に言われたことが図星だけに、カチン!ときました。
「自分のために泣いてない」っていうのも、本当でした。
「なんでバレたんだ?私はいつも元気な人を演じてきたのに、この人にはバレてるんだ」と、怖くなりました。
私は、なんとも言えない羞恥心と罪悪感にさいなまれ、ものすごく気分が落ち込みました。
その日の夕方、友人に頼んで、丸坊主にしてもらいました。
そしたらね、泣けました。涙が後から後から、出てきて、最後は笑っていました。
翌朝、その男性に挨拶をすると、「お前、ほんまに丸坊主にしたんか!よっしゃ。飯食わせたるから、一緒に来い」と言って、こぢんまりした素敵な和食の店に連れていってくれました。
「ここ、オレの店やねん。奥に資料室がある。料理の本は何万冊も揃ってるから、好きな本をコピーして持っていけ。コピー機もここにある」と言われました。
私は、目が回りそうなくらいたくさんの料理本や雑誌を開き、気になるページをコピーしまくりました。
2時間後、男性が私を呼びに来て、そのお店で、私と4歳の息子に、コース料理をご馳走してくださいました。
ご飯が黒米でした。生まれて初めて食べました。お料理は全て、素晴らしい味と盛り付けの創作料理でした。
一緒に食べながら、男性が言います。
「な?旨いやろ? ここの板さん(板前さん)は、若いけど、センスが抜群やねん。 ところでお前、今度オレの家の法事で、8000円の精進コースを8人分頼むわ。 今のお前なら、できるやろ?」と。
エエエ??なんですと?? 「しょ、しょうじんって何??」くらいの知識でしたから。
法事は2週間後くらいでした。毎日ネットで検索したり、先日コピーしたレシピを見ながら、コース料理を考えました。
すごく緊張したけれど、新しい料理の世界を知るのは、すごい刺激で、ワクワクしていました。
法事の日がやってきました。
3日前から泊まりで、友人にも手伝ってもらいつつ、必死で仕込みました。睡眠もとりません。
夏の暑い頃だったので、食材が腐らないようにするのも大変でした。
なんとかかんとか、素人の精進料理コースを、召し上がっていただきました。
黒豆をつぶして、中に黒ゴマで包んだ、緑色の鮮やかな、よもぎ生麩をいれて丸め、黒いキビ粉をまぶして、油で揚げた「真っ黒揚げ」と
最後に、大きないちじくの天ぷらをお出ししたのを、覚えています。前菜に、山芋豆腐などを作りました。他のメニューは、緊張していて、記憶がありません(笑)
終わった時は、倒れるかと思いました![]()
「面白かったわ。やったら出来るやんけ。ようがんばったな」 と男性は私のイガグリ頭に手を載せて、ぐりぐりしました。
この日のことは、強烈な思い出として、今でも時々思い出し、その男性への感謝でいっぱいになります。
この日を境に、料理のスランプから抜け出せました。自然と、「なんで私がこんな仕事を?」っていう気持ちが薄れ、前向きに楽しく考えられるようになりました。
自分のために泣けたのも、大事なポイントかと思いました。
さて、その時の法事のお客様は、全員が、料亭の経営者など、「食のプロ」ばかりだったんです。
皆様、それぞれ「楽しませてもらったわ。ありがとう」と声をかけてくださり、帰っていかれました。
私は「料理の専門家さん達も、喜んでくれたんだ」と、感謝していました。
でもね、
昨日、ある出来事が起きたんです。
その出来事のおかげで、その法事料理の記憶が蘇りました。
そして、現在の自分の心で、あの頃、私の料理を食べてくださった8名の方々のことを思いました。
緊張しすぎていて、お顔も覚えていません。なんとも失礼なことです・・・
あの方達は、さまざまな料理を食べてこられたプロばかり。
私のような「初めて精進料理を作った」程度の人間の料理を食べてくださりながら
きっと、私の超ド級の未熟さを、舌と目、五感で体験してくださったと思うのです。
これは私の憶測でしかありませんが、「この子、まだまだ未熟やけど、頑張ってるなあ」という気持ちで
暖かい目線で、食べてくださっていたんだろうと思いました。
私は、昨日までの10年間近く、思い込んでいたんです。
「あの時の8000円の精進コースで、料理のプロを喜ばせたんだ」と。
思い上がりも、いいとこです。
初対面の男性の、突然の「喝」のおかげで、
私はあの頃、8人の料理のプロの方々の暖かい愛を、知らない間に受け取っていたんだと、気づきました。
また新たな感謝の気持ちが、大波のように訪れ、私は昨日から泣いてばかりいます。
昨日、このことに気づかせてくれたのは、現在、29歳の料理人でした。あの頃の自分と重なりました。
ほんとに ありがとうございます。
料理という仕事にめぐり合えて、本当に良かったと思います。
愛をこめて
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お知らせ
毎月恒例の、月・遊びの宵「新月の集い」のご案内です。
新しい年は満月とともにはじまりましたが、次の満月1月30日はブルームーン(2回目の満月)、幸運を呼ぶ月と言われているそうです。
さて、2月のお知らせです。2月の新月は水瓶座にあります。水瓶座はひらめきや、発想の星座です。独創的で新しい考え方を取り入れていく姿勢、これは奇異をてらうのでなく「常識」にとらわれずに、「ほんとうのこと」をみつめていく姿勢です。
自他ともに個性を認め、自由にオープンに交流していけるよう、水瓶座の新月にお願いしましょう。
※絵を描いたり、アートが苦手という方も安心してご参加ください。楽しみながらご自分自身を感じていただけます。
開催日: 2月 14日(日)11時~16時
(お昼ご飯とおやつ付きです。)
費 用: 7,000円(画材、食事代込み)
会 場: JR元町駅東出口南へ3分
(お申し込みの方へ地図をお送りいたします)
申込先:mori@a-c-lab.com
ファシリテーター: アーツセラピスト森すみれ/ フードアーティスト 谷裕子(toni)
お申し込みはこちらへ:moonflower8613@yahoo.co.jp
2月のワークでは、1月末からのインドの旅から戻ったばかりの
森すみれさんと、インドの女神様のパワーをお届けできればと
思います。 皆様のご参加をお待ちしております。
toniさん、ただいま。
toniさんは、いろいろな体験をされていますね。読んでいると、涙がでそうになってしまいます。
人間はいろいろな体験をし、その中で自分を許すことも覚えるのですね。
2010年01月27日 22:55
マイペースさん
おかえりなさい
いろいろな体験のおかげで、自分を許すことを知れるのは、本当にありがたいことだと思います。
2010年02月01日 10:05
最近
お料理は芸術だとつくづく感じています。
21日には食べられるのかな・・・
2010年02月03日 10:47
まなみん
ほんと、お料理は形が崩れることで、命に変化していくという芸術なので
私は大好きです。
ところで21日って何でしょ?
2010年02月03日 15:59
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