井上ウィマラのともにいのちを耀かせる瞑想とスピリチュアルケア

2007年01月

瞑想による解毒 その3

喜び(Piti)

 瞑想を始めて、呼吸やマントラなどの対象に注意を向け、しっかりと把握して観察し、集中してゆくと、言葉を忘れ、我を忘れてしまうことがあります。ただ呼吸に触れている、マントラとひとつになったとき、ふと体が軽くなったように感じたり、明るくなったように感じたり、鳥肌が立つようにゾクッとしたり、お腹の辺りに気が充満してきて背筋を上っていったり、波のようなエネルギーが押し寄せてくるように感じたりすることがあります。これらはみな喜びの働きです。喜びは、怒りや攻撃性を溶かしてくれます。破壊性が内向すると自己嫌悪になります。喜びは、そのエネルギーで自己嫌悪や嫉妬なども中和して忘れさせてくれます。この喜びは、もともといのちに備わっているものなのですが、否定的な思考によって曇らされていました。瞑想によって、しっかりと対象に注意を向け、ありのままに見つめることで否定的な思考の勢力が弱められます。また、我を忘れるところまで集中すると、言語的な働きが静まってくるので、喜びが浮かび上がって耀きだすのです。

瞑想による解毒 その2

観察する思考(Vicara)

 禅定を支える第二の要素は観察する思考力です。注意を向ける思考が前半部であるのに対して、意識が対象をつかんだ後で対象について詳しく観察する働きです。花を見つけて着地したミツバチが、花をよく見てどこに管を入れれば蜜がよく吸えるかを見極めるようなものです。この観察する思考によって、疑いが解けます。「百聞は一見にしかず」と言いますが、本当かどうか疑念を持っていることも、自分の目で詳しく見て確かめるならば真実を確信することができます。
 注意を向ける思考と観察する思考は一組にして扱われることがあります。つまり、瞑想を始めるときには、マントラであれ、イメージであれ、あるいは呼吸であれ、何かの対象に心を向けて、その対象をよく把握して観察し、熟考する必要があるのです。一つのことに意識を集中することを凝念といったり、熟慮するといいますが、瞑想のスタートにおいては、こうした思考力をよく働かせて対象を明確に把握して、疑いが消え確信できるまで考え抜くことが大切なのです。
 それは概念的な思考ではなく、その対象をストレートにとらえて直感してゆく思考です。こうして瞑想を支える純粋な注意力と直感的観察力によって、眠気や不活発生と疑いとが消えてゆき、スッキリ溌剌として、自己信頼のもてる心が育ちます。

瞑想による解毒 その1

注意を向ける思考力(vitakka)

禅定とは、パーリ語(古代インドの口語)でJhanaの音訳です。もともと、焼き尽くすとか、熟慮するという意味があります。この禅定を支える心の働きに、注意を向ける思考力、観察する思考力、喜び、リラックス、一体感の5つがあります。仏教の瞑想心理学では、これらの5つの働きは、それぞれ、眠気や不活発性、疑い、怒り、後悔や落ち着かなさ、貪欲という心を曇らせる5つの作用を中和してくれることを教えています。
 今回は、まず最初の注意を向ける思考力(vitakka)について説明しましょう。瞑想するとき、まず対象に意識を向ける必要があります。マントラであれ、イメージであれ、呼吸であれ、その対象のことに心を向け、集中します。この意識を向ける働きを、思考作用の前半部分としてとらえます。すなわち、仏教瞑想では、思考を、対象に意識を向ける働きと、対象を詳しく観察する働きの2つに分けるのです。
 解説書では、それはミツバチが花を見つけてそこに着地して、蜜を吸うことにたとえられています。花を見つけて着地するまでが注意を向ける思考の働きに当たります。花に着地してから管を伸ばして蜜を吸うのが詳しく観察する思考です。ミツバチが、花に着地するまでは羽音が大きいけれど、蜜を吸いだすと動きが静かになります。つまり、心の働きとして、何かの対象に向かってゆく働きは大きなエネルギーを必要とするので、そのエネルギーに活性化されて、眠気や不活発性が中和され、抑うつ的な気分も晴れてくるわけです。これが、瞑想的な集中状態に入ることの第一のご利益です。

スピリチュアルケア講座 瞑想会

ヴィパッサナー瞑想会

仏教のヴィパッサナー瞑想を、スピリチュアルケアの基本となるように実践的に学びます

日時: 毎月第4土曜日 午後7時から午後9時まで
     2月24日、3月24日、4月21日、5月26日、6月23日、7月21日
参加費: 3000円 (講座参加者は無料、単発の場合はその週の参加)

場所: イーストウエスト対話センター
     大阪市港区八幡屋1-11-1 (地下鉄中央線朝潮橋駅下車徒歩5分)
     http://www.east-westdialogue.org
申し込み:  Tel/Fax 06-6599-2520
        Email: info@east-westdialogue.org

スピリチュアルケア講座 コンサルテーション編

スピリチュアルケアからのコンサルテーション

対人援助の専門家の人のためのコンサルテーションです。心理療法、福祉、医療、看護、介護、教育、保育などさまざまな対人援助の現場で出会う困難について、スピリチュアルケアの視点から毎回2件のケースを検討します。ひとつひとつのケースについてのコンサルテーションの後で、参加者のそれぞれが学んだことをシェアし、その学びを日常につなげるための実践や困難をともに支えあうネットワークについて考え、最後にはその事例に対する尊重と感謝の念につながる流れを見つけ出してゆきたいと思います。

定員: 7名
日時: 毎月第4日曜日 午前10時から午後5時まで
     2月25日、3月25日、4月22日、5月27日、6月24日、7月22日
参加費: 6回通しで8万1千円、1回につき1万5千円 (学生2割引)

場所: イーストウエスト対話センター
     大阪市港区八幡屋1-11-1 (地下鉄中央線朝潮橋駅下車徒歩5分)
     http://www.east-westdialogue.org
申し込み:  Tel/Fax 06-6599-2520
        Email: info@east-westdialogue.org

スピリチュアルケア講座 入門編

スピリチュアルケア入門

スピリチュアルケアに関心を持っている一般の人向けのワークショップです。参加者のニーズに応じた流れの中で、スピリチュアルケアとは何かに関するショートレクチャー、呼吸をベースにしアウェアネスの瞑想、慈しみの瞑想、セルフ・エスティームを高めるための瞑想、関係性の中で自分に気づくエクササイズなどをその場にあわせて構成しながら進めてゆきます。自らのスピリチュアリティーに目覚め、自らをケアし、他者へのケアを通してともにいのちの光を耀かせることができるような生き方を探す道です。

定員: 12名
日時: 毎週第4土曜日 午前10時から午後5時まで
     2月24日、3月24日、4月21日、5月26日、6月23日、7月21日
参加費: 6回通しで5万4千円、1回につき1万円 (学生2割引)

場所: イーストウエスト対話センター
     大阪市港区八幡屋1-11-1 (地下鉄中央線朝潮橋駅下車徒歩5分)
     http://www.east-westdialogue.org
申し込み:  Tel/Fax 06-6599-2520
        Email: info@east-westdialogue.org

瞑想会@高野山大学

ヴィパッサナー瞑想会

日時: 1月24日、31日、2月14日、3月14日、4月4日(水曜日)
     午後1時から4時まで
場所: 高野山大学202号教室(和室)
内容: パーリ語による読経、坐る瞑想、歩く瞑想、瞑想的エクササイズ
     経典のショートレクチャー、質疑応答

参加無料

問合せ先: 高野山大学 0756-36-2921
        Email: vimalajp@yahoo.co.jp

ウツの風景

年末年始は、ちょっとウツモードで流れてゆきました
昨年は新しい学科の立ち上げに関連して
思いもかけないような荒波をかぶったり
思いもかけないところから助け舟が出たり
そんなこんなでだいぶ疲れていたのだと思います

そういえば、還俗して日本に帰ってきた8年前の年末年始にも
それから、子どもと離れて暮らすことになった3年前の年末年始にも
似たようなウツっぽい時間が流れたことがありました
カルチャーショックや離別の悲しみによるものでした
寝込んでしまうくらい辛かったそのときに比べれば、だいぶ軽かったのですが
それでもやはり、ウツはウツのもつ独特な季節の雰囲気があります

いろんなことを思い出して
あんなことをしてしまった、こうできたらよかったのに、こうなったらどうしよう・・・
そんな思いが頭に浮かんできては巡ってゆくのを見つめながら
思いを思いとして見つめて
自分を責める気持ちや不安を確認しながら
たくさん涙を流して
自分の気持ちを正直に話して
ゆっくりと、ゆっくりと、元気が戻ってくるのを待っていました

後悔、懺悔、反省、ふりかえり
そんなグラデーションを体験していたような気もします

ウツは
これまでの自分を手放して
新しい自分が生まれるための準備の季節なのかもしれません

5日になって、やっとスキーに出かけることができたとき
自然の雄大さに抱かれて
富士山や、北岳や、八ヶ岳など
こんな素晴らしい山々にずっと見守られて育ってきたのだなぁと思い
北アルプスや御嶽山などを眺めながら
日本の臍みたいなところで滑っているんだなぁと思ったら
なんだかまた涙がこみ上げてきました
山も空も海も、自然はいいなぁ・・・と

レストハウスで子どもたちや若い家族たちの様子を眺めたり話したりしながら
新しい世代を育てるためのスピリチュアルケアを作ろう
そんな思いが浮かんできて、また涙
この仕事は、やっぱり自分のためでもあるのだと思います

そして大学に戻ってみると
変革の嵐の荒波は相変わらずですが
きちんと逃げずに向き合ってきた手ごたえはそれなりに生まれてきていて
久しぶりにギターを手にとってみると
かすれて出なかった声も出るようになってきて
ウツの風景を見つめながらその季節を大切に過ごせてよかったなぁと
しみじみと思っている今日この頃です

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