
東京への行き帰りに使う新大阪駅近くのホテルがあります。先日も大学での講義を終えてから翌日の東京での共同研究に間に合うようにそのホテルに一泊しました。翌朝のことです。朝食をとり、チェックアウトを済ませて駅に向かうシャトルバスに乗り込み、窓から何気なく外を見ていたとき、玄関前の灰皿を掃除している人の姿が目に入りました。年のころは60台半ば、おそらく退職後の第二の人生で、アルバイトとしてホテルで働いているのかもしれません。膝をついてテキパキと働いているその姿に、私は禅寺で作務をしている修行僧の姿が重なってしまいました。「いろんなところに修行僧はいるんだなぁ・・」、そう思うとなんとなく胸が熱くなりました。いまどき、お寺よりも、こうして巷間で人知れず修行を積み重ねている人が少なくないのだと思います。インドの四住期に従えば林住期や遊行期をどのように生きるかは、現代の日本社会が抱える高齢期の問題を左右する大きなテーマなのかもしれません。どのように老いてゆくか、老いてゆく人に寄り添うか、どのように死んでゆくか、その死を看取ってゆくか、修行は時と場所を選ばないのだと思いました。
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