
注意を向ける思考力(vitakka)
禅定とは、パーリ語(古代インドの口語)でJhanaの音訳です。もともと、焼き尽くすとか、熟慮するという意味があります。この禅定を支える心の働きに、注意を向ける思考力、観察する思考力、喜び、リラックス、一体感の5つがあります。仏教の瞑想心理学では、これらの5つの働きは、それぞれ、眠気や不活発性、疑い、怒り、後悔や落ち着かなさ、貪欲という心を曇らせる5つの作用を中和してくれることを教えています。
今回は、まず最初の注意を向ける思考力(vitakka)について説明しましょう。瞑想するとき、まず対象に意識を向ける必要があります。マントラであれ、イメージであれ、呼吸であれ、その対象のことに心を向け、集中します。この意識を向ける働きを、思考作用の前半部分としてとらえます。すなわち、仏教瞑想では、思考を、対象に意識を向ける働きと、対象を詳しく観察する働きの2つに分けるのです。
解説書では、それはミツバチが花を見つけてそこに着地して、蜜を吸うことにたとえられています。花を見つけて着地するまでが注意を向ける思考の働きに当たります。花に着地してから管を伸ばして蜜を吸うのが詳しく観察する思考です。ミツバチが、花に着地するまでは羽音が大きいけれど、蜜を吸いだすと動きが静かになります。つまり、心の働きとして、何かの対象に向かってゆく働きは大きなエネルギーを必要とするので、そのエネルギーに活性化されて、眠気や不活発性が中和され、抑うつ的な気分も晴れてくるわけです。これが、瞑想的な集中状態に入ることの第一のご利益です。
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